住宅のお庭の中には、様々なシーンで土間コンクリートが使われます。
例えば、道路から玄関までをつなぐ通路(アプローチ)であったり、駐車場で使用されたりします。多かれ少なかれ、外構工事では生コンクリートを利用して強度のある土間を作成します。
このとき、ただ単にコンクリートを施工するといっても、表面の仕上げ方法により、見栄えや性能が大きく変わってくるのです。
本記事では、この「コンクリートの仕上げ方法」について大きく4つに分けて解説していき、最後の項でそれぞれのメリット・デメリットを紹介します。
駐車場やアプローチに土間コンクリートを使用する場合、「家の顔」ともなり得るポイントであるため、どのような表面仕上げのコンクリートになっているかどうかで印象が大きく左右されます。
そこで、土間の表面仕上げの種類や、それに伴うメリット・デメリットの知識を付けて、オシャレなお庭造りを目指しましょう。
もくじ
1.金鏝仕上げ(かなごてしあげ)
金鏝仕上げとは、上記写真のような表面をスベスベにする仕上げ方法です。
生コンクリートを流し込んだ後に、硬化していくのと合わせて数回に分けて平らにしていきます。最後に、乗っても靴跡がつかない程度に固まった際に、表面の薄いセメント分をしごいて仕上げます。
数回に分けて均すとき、硬化し過ぎると石が沈まなくなってしまったり、表面が固まってきれいに均せなくなったりしてしまうので、職人の長年の技術が必要です。
最もポピュラーな仕上げ方法であり、土間コンクリートというとこの仕上げ方法が採用されます。
表面がすべすべになっているため、散水や掃き掃除による清掃が行いやすい反面、滑りやすいデメリットがあります。
2.刷毛引き仕上げ(はけびきしあげ)
刷毛引き仕上げとは、上記写真のように、ホウキで掃いたような刷毛目(はけめ)をつけた仕上げ方法です。
これも、金鏝仕上げと同様に、生コンクリートを数回に分けて平らに均していき、最後に刷毛の目を付けるのです。
この際、金鏝仕上げをする場合よりも、少し早い段階で最後の仕上げを行います。それは、刷毛目がくっきりと出るようにするためです。これにより、滑り止めの機能が加わります。
施工費用が、安価で済むため駐車場などの広い面積にて施工されることが多いです。
これは、金鏝仕上げの反対で掃除が多少しずらくなります。それは、刷毛の目にゴミやほこりが引っかかってしまうからです。
その反面、滑りにくくなるため安全性が確保されます。
このとき、端の部分は欠けにくいように、あらかじめ下記図のような形状にします。これを建築業界では、「面を切る」と言います。
これは、コンクリートの角が欠けやすい性質上、どの場面でも行う作業です。
3.洗い出し仕上げ
「洗い出し仕上げ」とは、初めて聞く方がほとんどだと思います。
これは、土間コンクリートの上に、色砂利と特殊なセメントを混ぜて硬化する前に表面のセメント分を洗い、色砂利を浮き出させる手法です。
上記写真のように、色鮮やかな砂利の仕上げにすることが可能で、尚且つ滑りにくいという利点を持ちます。
ただ、材料費や手間がかかるため、工事費用は前項のものに比べると高額になってしまいます。
そのため、アプローチなどの目立つ箇所に、滑り止めと見栄えを意識して施工されることが多いです。
上記写真のように、コンクリートの表面を洗い出す手法もあります。
こちらは、コンクリート中に含まれる石を表面のみ浮き立たせる方法です。
上塗り材を使用しないためコストを抑えつつ、強度も図れるため昨今では好まれる仕上げ方法の一つです。
洗い出しコンクリートの施工例は、富士市で行ったシンプルモダンの外構工事の施工事例をご覧ください。
4.スタンプコンクリート
スタンプコンクリートとは、土間コンクリートを流し込んだ際に、表面に色をつけた後に型を押し付けて模様をつける技法です。
その他にも、コンクリート表面にコーティングする作業などが伴いますので、洗い出しコンクリート同様、工事金額が高額となります。
しかし、上記写真のように、タイルを貼り付けたような、とても見栄えの良い仕上がりになるばかりでなく、実際にタイルを貼り付けるよりも安価にて施工することができます。
そのため、アプローチや目立つ箇所などに使用されることが多いです。
ただ、車などの重量物が高頻度にて通行するような場所では、次第に色が薄れたりコーティングが落ちる可能性があるためお薦めできません。
ここ数年では、大規模な工事(デパートやアパートなど)で多く用いられますが、一般住宅で使用されることはほとんどなくなってしまいました。
5.タイルや石等の仕上げ
土間コンクリートそのものの仕上げではありませんが、上記写真のように石やタイルを張ることでよりデザイン性をもたせることができます。
色や材質もさまざまですので、あなたのお庭に合ったシーンで活用することができます。
費用はさまざまですが、安価なで見栄えの良いタイルもありますので各メーカーのカタログを一度見てみると良いかと思います。
まとめ
本記事で紹介したように、土間コンクリートの表面の仕上げ方法を変えることにより様々な効果が発揮されます。それは、見栄えであったり実用性であったりします。
また、それに伴い金額が変動することも忘れてはいけません。
例えば、駐車場などの広い面積の土間を希望の際は、耐久性や実用性を考慮して金鏝仕上げや刷毛引き仕上げを採用し、アプローチや道路から見える箇所は、スタンプコンクリートや洗い出し仕上げのコンクリートにすると、外観や機能性共にバランスの良い土間が出来上がります。
ただ、単に見栄えだけで安易に仕上げ方法を決めてしまうことはお勧めできません。
それは、ここまで読み進めたあなたには言うまでもないでしょう。
例を挙げるなら、あまり使用しない箇所やほとんど歩行しない箇所は、メンテナンスしやすい金鏝仕上げを使用し、車や人が歩く箇所に関しては安全性を重視し刷毛引き仕上げを採用するといったプラン作りです。
あなたが土間工事をお考えの際は、本記事の内容を思い出してみてください。きっと、素敵なお庭造りのヒントになるはずです。
また、土間コンクリートについては、他の記事でも詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。