庭の排水性が悪いと、水たまりができてしまいます。水はけが悪いと、コケやカビの原因になったり、害虫が湧きやすくなったりしてしまいます。
単純に考えれば、排水性を向上させるには、水勾配(みずこうばい:水を流すための傾斜)を取れば解決します。
ただ、素人が庭をいじろうと思っても、どこから手を付けてよいのかわかりません。たとえチャレンジしてみたとしても、水はけが良くなるどころか、見栄えさえも悪くなってしまいます。
また、排水性を向上させる方法をインターネット等で調べても、暗渠排水(あんきょはいすい:地中に水路を作って水はけを良くする工事)など、素人では難しい内容しか出てこないため、主な解決策を見つけるのは難しいです。
そのため、庭の排水性が悪い場合、一度外構専門業者(エクステリア業者)に相談してみることをお勧めします。エクステリア業者であれば、きれいに仕上げてくれるのはもちろんのこと、確実に水たまりを無くしてくれます。
そこで、庭の水たまりで悩んでいる人に向けて、静岡県浜松市で行った外構(エクステリア)工事の事例をもとに解決策を紹介します。排水性を向上させる工事は場所によって異なりますが、簡単に水たまりをなくすことができます。
もくじ
1.排水性を向上させる方法
それほど大きな水害ではなくても、家のお庭の中に大きな水たまりができたり、雨水が小さな川のように流れたりして、敷地内の土砂が道路等に流れ出てしまうことがあります。
このとき、住宅の水害時の対策方法として、主に以下の二通りの方法を用いることが多いです。
- 水はけを良くする(暗渠(あんきょ)排水の設置)
- 排水設備の設置(側溝(そっこう)や集水桝(しゅうすいます)の設置)
※暗渠排水(あんきょはいすい:穴の開いた管を地中に埋めこみ、水はけをよくする排水方法)
集水枡(しゅうすいます:蓋が網状になっていて、水を一時的に溜めることのできる枡)
1-1.暗渠排水の場合
前者の「水はけを良くする」の場合、排水性が悪い土を優良土に入れ替えることも考えられます。
また、暗渠排水を設置することは、水はけ性能の向上に十分期待できます。この方法であれば、地中に埋め込む設備のため、お庭の面積が小さくなる心配がありません。
さらに、地面の中に水の通り道を作るわけですから地表は水勾配を気にしなくてよくなりますし、小さな水たまりもできにくくなります。
ただし、地面を深く掘り下げて、管を砂利で覆う工事になるため、工事費用は高価です。
また、大雨が降った際には、地中にしみこむよりも早く水が流れてきてしまったり、一時的に溜まったりしてしまう恐れがあります。
1-2.排水設備の設置
一方、後述の「排水設備の設置」の場合、排水設備に向かって水が流れるように地面の高さを整備しなくてはいけません。設備があってもそこへと水が流れなければ意味が無いからです。
ただ、設備が地表に現れているため、お庭の面積がその分だけ狭くなってしまいます。
しかし、確実に雨水を排除することができるといった大きなメリットがあります。さらには、メンテナンス(清掃)も容易であり、小さな側溝や集水桝であれば工事金額は安価で済みます。
1-3.現場によって適している工事を選択する
事例として紹介しますと、浜松市よりお問い合わせをくださったA様の場合、「雨天時庭に広い面積で水たまりができてしまい困っている」という悩みをお持ちになっていました。
さらにお話を伺っていくと、A様は「暗渠排水の設置」に興味を持っており、そちらで工事をお願いしたいとのことでした。そこで、A様に現地の写真と図面を送っていただきました。
資料を確認すると、暗渠排水を設置しても雨水を逃がすことのできる高さの場所が無いため、作業が困難なことが分かりました。
A様のお宅で暗渠排水を設置した場合、かなりの距離の施工が必要になるため、工事金額が非常に高額になってしまうことになります。
暗渠排水の場合、A様が当初決めていた予算の数倍のお見積り金額になることは明確でした。そのため、A様には側溝や集水桝を設置するプランを提案しました。A様のお庭では、水が溜まる場所が決まっているので、効果が十分に期待できることであったり、予算内での施工が可能であったりするためです。
金額、プランともにA様より納得いただき、ご契約となりました。
2.施工方法
ここからは、側溝工事の方法や手順を公開していきます。
まず、側溝の最終地点となるコンクリート枡(ます)を設置します。
上写真のように、土を掘りこみモルタル(セメント、砂、水を適量混ぜ合わせた物)を使用して枡を固定します。
枡の設置理由は下記の通りです。
各家庭に設置してある側溝に枡が設置してなかった場合、道路の側溝はたちまちゴミや土砂等で詰まってしまい機能しなくなってしまいます。
そのため、枡などを設置してなるべく綺麗な水を外部の側溝に流す必要があります。
枡の設置が完了した後、側溝の据え付けを行います。
これもまた、モルタルを使用して固定していきます。
据え付けの際は、遣り方(やりかた:構造物の位置を示すためのもの)に水糸を張り、水平に真っ直ぐ並べていきます。適当に並べてしまうと、くねくね曲がってしまい、一直線にならないからです。
このとき、側溝同士を繋げるために1cm程度隙間を空けておき、目地(めじ:構造物同士の間に設ける隙間)にモルタルを詰め込み均しました。
また、水平に設置した側溝では水が流れなくなってしまうため、底面にモルタルを流し込み勾配(こうばい:傾斜)を作ります。これにより、土地の形状に合わせて側溝を据えても、確実に水を流すことができます。
あとは側溝にコンクリート製のふたを被せてから、土を埋め戻して完成です。
3.完成
今回は、側溝の工事に加えて、「DIY(でぃーあいわい:日曜大工)で木のフェンスを設けたい」とのA様の希望で、フェンスの基礎と柱も設置させていただきました。
このとき、側溝や枡、さらにはフェンス基礎を埋め込むことで余った土は、捨てずにお庭に敷きならしました。単に、平らにするのではなく、側溝に水が流れるように、勾配をつけました。
これにより、残土(ざんど:余った土)の処理費用を減らすことができた上に排水性を向上させることができました。
最後に、整地・清掃をして完成となります。
まとめ
A様のお宅の場合、暗渠排水ではなく、側溝と集水桝(しゅうすいます)を設ける工事で、排水性が向上して水が溜まらなくなりました。
実際に、工事完成の日よりすぐにまとまった雨が降り、A様に確認の連絡を取ったところ、
「雨が降ったところ大きな水たまりになることなく水がはけてくれ、改めて排水工事をお願いできてよかったと実感しています」
という大変嬉しいお声をいただきました。
このように、簡単な工事であっても、十分に排水性を高めることができます。工事に慣れていない素人の場合、水たまりを無くすことはもとより、ほとんどが庭を汚してしまうだけです。
そうなる前に、まずは近くの優良外構業者に相談してみることをお勧めします。無料で提案やお見積りをしてくれるため、良い解決策を見つけることができるようになるはずです。
今回は、私共(MKプランニング)も、お客様に喜んでいただける企画・工事ができたことを嬉しく思います。
A様、この度は工事のご依頼ありがとうございました。
A様のお庭は、半分ほどはまだ手付かずの状態で、これから夫婦で楽しみながら作り上げていくとお聞きしました。私どもでできることはサポートさせていただくつもりです。
これからも末永いお付き合いをお約束します。