高齢者がいるご家庭の場合、お庭をバリアフリー(高齢者や障害者の支障を取り除くこと)にする必要があります。たとえば、家族に車いすの方がいれば、小さな段差があるだけでも通行しずらいです。このとき、要介護の方であれば、助成金などを利用できることがあります。
そうでない場合、工事金額をあなたが全額、負担しなければいけません。ただ、外構工事(エクステリア工事)は小規模なものであっても、数万~数十万円もする高額な買い物です。
そのため、「庭に段差があるから直したい」と考えても、すぐに施工できない方はたくさんいます。
そこで弊社は、DIY(自分自身で行うこと)の提案をしています。
「DIY]を取り入れることで、単にお庭づくりを楽しむばかりでなく、外構(エクステリア)工事の予算を大幅に削減することができます。
これを読むことで、DIYを上手に活用して、工事費用を大きく削減する方法が分かります。
もくじ
1.DIYとプロの工事の違い
まず、「DIY]と「プロが行う工事」には大きな差があります。説明しなくてもお分かりだと思いますが、品質・強度・工事期間などの面で決定的な差が出てきます。以下の図を確認してください。
上の図を見てわかる通り、専門業者に工事を依頼する方が、施工や品質のみを考えると良いです。
ただ、各家庭それぞれに日曜大工が好きな方がいたり、予算が足りなかったりいろいろな事情があります。
この場合、ぜひDIYという選択肢を考えた方が良いです。素人の方であっても、工事を楽しみながら施工費用を大幅に削減して行うことが可能だからです。
しかしながら、素人が行う工事は必ずしも安心・安全ではありません。
そこで、プロの手を少し借りると良いです。
具体的にどのようなことかと言うと、以下のようなメリットがあります。
- 構造物(こうぞうぶつ:基礎部分がある、複数の材料からできている物)の作成時には基礎部分をプロが行いDIYでその上の部分を施工する。
- 砂利や芝生を敷くときは、下地をプロが施工してその上をDIYで行う。などのことが挙げられます。
このようなやり方をすれば、安心してDIYでの作業が行えます。
DIYでの不安要素を、プロと分担して行うことにより取り除くことができるからです。
実際に、どのような低価格を実現できるのかということを、神奈川県横浜市戸塚区S様邸の外構工事の事例をもとに説明します。また、DIYをプロと行うことでどのように工事費用を削減できるのかを解説していきます。
2.高低差のある敷地にて車いすでも出入りできる通路の作り方
神奈川県横浜市戸塚区にお住まいのS様の場合、「両親の老化により車いすの使用をせざるを得なくなった。それに伴い、通路の整備を行いたいが、予算が無い。そのため、企画の提案・工事のお手伝いをお願いしたい」というお問い合わせをいただきました。
早速、現地の資料を拝見させていただき、詳しくお話を伺ったところ以下のような状況であることが分かりました。
- 正面入口より玄関に入るまでに40段ほどの階段を上がらなくてはならない
- 建物裏側は段差2m弱の高低差がある
このように、様々な条件に縛られていて、大変困難な状況でした。
ただ、予算が無いために敷地の高さを大幅に変えることはできません。
そこで、電話やメールにて何度も打合せを重ねて、「建物裏側に車イスの通路を整備して2mほどの高低差はリフト(エレベーターのような装置)にて解消する」ことになりました。
これを実現するために必要な設備は2つあります。
- リフトを設置するための基礎
- リフト設置予定の荒れ地の整備
お問い合わせ当初から、S様よりハーフDIY(DIYのお手伝い)での施工を相談されていたため、どのような作業手順を行うかを熟考しました。
もちろんS様は素人の方であるため、できる作業には限りがあります。また、予算的に弊社は2日しかお手伝いできない状況でした。
何度もプランを練り直し、連絡を取り合いS様の満足のいく工事計画が出来上がりご契約の運びとなりました。
3.工事着手
S様には、あらかじめこちらで計算した数量の材料を揃えていただきました。ただし、細かい専門道具や特殊な材料は弊社が用意します。
そして晴天の日を迎え、いよいよ工事着手となります。
まずは、S様と何度も打合せした内容と現地の状況の確認から入りました。この時点で相違点があれば、計画の変更を行います。
S様とは何度も連絡を取り合い、写真も細かく送っていただいたので特に変更点はありませんでした。
3-1.リフトを設置するための基礎
まずは、、リフトを設置するための基礎を作成しました。
※
- 砕石(さいせき:石を適度な大きさに砕いた物)
- 目地(めじ:ブロック同士の間に設ける隙間)
- ワイヤーメッシュ(コンクリートの強度向上・ひび割れ防止のために埋設する金網)
今回の基礎は、上の図の通り、ブロックを使用した簡素なものにしました。素人でもできる作業を少しでも増やしたかったからです。
このとき、しっかりとした手順で施工できるように、弊社よりS様へアドバイスしながら作成しました。
また、職人である私が主にブロック積みを行い、S様には埋め土(うめど:基礎の中に土を埋める作業)や砕石の敷き均しをお願いしました。
そして、コンクリートは、共同で作業しました。
3-2.リフトが降りた地点から住宅内へ入るための通路の確保
S様のお宅は、高低差のある敷地に囲まれていましたので、建物裏側の荒れ地を「リフトの通路」としてお借りしました。
しかし、土がデコボコになっていいたため、車いすが動くことができませんでした。さらには、隣地との境のコンクリート製の壁が低くなっていたため、それに合わせて地形は急勾配(きゅうこうばい:傾斜がとてもきついこと)でした。そのため、とても通路として機能する状態ではありませんでした。
そこで、上記の図のように境界壁の上にブロックを積み上げ、敷地を平らに埋めることで問題を解決しました。
また、ブロックは将来的に壊すことも考えて、必要最低限の範囲のみ施工してあります。あくまでも借地であるため、解体する時のことを考えてのことです。
ブロック積みは弊社とS様と共同で作業を行い、整地(せいち:土を綺麗に均すこと)はS様のみの作業で行いました。これをDIYとして行っていただくことで、人件費を大幅に削減することができました。
4.まとめ
弊社とS様で役割分担をすることで、無事に主な構造物を作成することができました。最後に、手すりや階段をS様が付け加えて完成となります。
素人だけでは難しい工事であっても、職人と一緒に施工することで、上記写真のような本格的なDIYを行うことができました。もちろん、DIYを取り入れていただくことで、工事費用を大幅に削減することができます。
これを弊社では「ハーフDIY」と呼びます。
S様も「貴社の力添え無しに今回の工事はできなかった」「専門的な部分はお願いして本当に良かった」と嬉しいお言葉をいただくことができました。
我々も、S様のお手伝いができて大変嬉しく思います。
S様のように、「どのように作業すればわからない」「特殊な地形で施工が難しい」などといったお悩みの際は、近くの外構専門業者(エクステリア業者)にお問い合わせしてみましょう。
そして、あなたのDIYの計画を相談すればきっと良い提案をしてくれます。安全で安心なDIYを行いましょう。