コンクリートは高強度で耐久性に優れているため、建築工事(家やビルなど)や土木工事(橋やトンネルなど)などで頻繁に使用されます。もちろん、外構(エクステリア)工事でもコンクリートは活用されています。
例えば、ブロックを積んだりフェンスを立てたりする際、コンクリートで基礎を作成します。さらに、駐車場の車が乗る部分にもコンクリートが利用されています。
また、あなたのお宅で行うDIY工事であっても、コンクリートを使用すればより本格的な工事を行うことができ、施工内容もより幅広く充実したものになります。
ただ、コンクリートの材料はホームセンターに売っているものの、その商品を用いてどのようにすれば良いのか分からず、あきらめてしまう方も多いと思います。また、「どのように活用すればよいか分からない」という方もたくさんいます。
そこでこのページでは、コンクリート(モルタル)についての基礎知識や作り方について詳しく説明します。
もくじ
1.コンクリートとは?
まずは、コンクリートとはどのような物であるか説明します。
コンクリートの材料は、「水」 「セメント」 「砂利」 「砂」 を混ぜ合わせたもので構成されています。
1-1.材料によって呼び名が変わる
このとき、使用する材料によって「セメント」や「モルタル」 といったように、呼び名が変わります。
1-1-1.セメント
セメントは砂利や砂を含まない水とセメントだけを混ぜ合わせたもののことを指します。セメントは主に、コンクリートのひび割れなどの補修用に使用されることが多いです。
1-1-2.モルタル
モルタルは、水とセメント、砂を混ぜ合わせ、砂利が入っていないもののことです。ブロックの目地に使用したり壁に塗ったりして使用されます。
1-1-3.コンクリート
コンクリートは、先ほど紹介した水やセメント、砂、砂利の全てを混ぜ合わせたもののことを指します。
また、工事現場では使用箇所の必要強度に合わせて、これらの配合(はいごう:材料の割合)を変えて使用しています。また、本来コンクリートは硬化したもののことであるため、固まる前のコンクリートの正式名称は 「生コンクリート」 と呼びます。
1-2.使用する材料
コンクリートを作成する際に使用する材料を専門用語で表すと、砂利を 「粗骨材(そこつざい)」 と呼び、砂を 「細骨材(さいこつざい)」 といいます。そして、コンクリートはこれらを含んだ5種類の素材を混合して作り上げます。
・ 粗骨材(砂利)
・ 細骨材(砂)
・ セメント
・ 混和剤
・ 水
コンクリートは、これらを適量混ぜ合わせて作成します。
では、それぞれの材料はどんな役割を果たしているのでしょうか。
1-2-1.粗骨材(砂利)
コンクリートの強度は、骨材(こつざい)と呼ばれる高強度の石をセメントなどでつなぎ合わせることで保たれています。
その中でも、粗骨材(そこつざい)は重量・強度ともに重要な材料となります。
一般的には砂利と呼ばれるものであり、地域によって川から採取した物や山を掘削(くっさく:土を掘り下げること)して採取します。
そして、一度砂利の工場に運び、破砕機(はさいき:石や砂利を砕く機械)で小さく砕きます。その後、ふるいにかけて適度な大きさに分類したものを粗骨材として使用します。粒が大きすぎたり小さすぎたりすると強度が偏ってしまうため、一般的には大きくても30~40mm程度の砂利が使われます。
1-2-2.細骨材(砂)
前述の通り、粗骨材で大部分の強度が保たれますが、大きな砂利だけでは石と石の間に隙間が生まれてしまうため、それを細骨材(さいこつざい)で補います。
細骨材は、一般的には砂と呼びます。
粗骨材の大きさは、5mm以下の物が約9割です。
1-2-3.セメント
セメントは、主に粘土や石灰石などからなり、水に反応して硬化し接着する性質を持ちます。つまり、「強度を持った骨材を強くつなぎ合わせる働きをする」ということです。
主に使用されるものは、ポルトランドセメントと呼ばれる製品で、天然の原料や燃料が使用されています。
また、コンクリート工場では寒い時期や強度の必要な時に、セメントの割合を増やして生コンクリートを練り上げます。
1-2-4.混和剤
生コンクリートの製品をより高品質にするために、材料の中に入れる薬剤です。
混和剤の性質は主に次の3つです。
・ 生コンクリートを柔らかくし流動性(りゅうどうせい:流れやすさ)を高め施工性を向上させ、コンクリート中の大きな気泡を無くす
・ 強度・耐久性の増加
・ 硬化時間の調整
この3つの作用を働かすことにより、たとえ砂利やセメントの種類が違ったとしても、全国どこでも同品質のコンクリートを製造することができます。
DIY工事の中で使用することはありませんが、気温が低く生コンクリートが凍らないように入れる「防凍剤」や、セメントを早く固めたい時に混入させる「急結剤」などもこれらの仲間です。
1-2-5.水
前述の通り、セメントは水を入れなければ固まりません。また、柔らかい生コンクリートほど隅々まで充填(じゅうてん:行き渡ること)されるため施工性が上がります。
しかし、水の分量を増やすほど、硬化した際に減少する体積が増加してしまうため、強度は落ちてヒビが入りやすくなります。
そのため、強いコンクリートを作成するためには、水をできるだけ少なくした方が良いのです。
ただ、使用する水を少なくしてしまうと施工性が悪くなってしまいます。そのため、設計では固いコンクリートを使用することになっているにも関わらず、現場で加水(かすい:材料の中に水を加えること)をして柔らかくしてしまう悪徳業者は驚くほど多いです。
実際に、練りあがった生コンクリートを運ぶミキサー車の中で、職人の指示によって加水してしまい新聞に掲載された事例がありました。これは、生コン工場では、事前に打合せした配合・強度を有した材料を現場に提供しなくてはならないのにも関わらず、材料に手を加えてしまったものでした。それだけ生コンクリートと水の配合は、シビアであると考えられています。
この事例の場合、施工会社が施工性を増加させるために行ってしまったケースですが、プロでも水を加えて施工性をアップさせたいほど生コンクリートの扱いは難しいです。
そのため、DIYで初めて生コンクリートを扱う方の場合、セメントと水の量を増やして強度を保ちつつ液状に近いものを作成した方が、扱いやすいと言えます。
1-2-6.養生方法・養生期間
上記の説明以外にも、生コンクリートの練り上げから流し込み完了までの時間の制約や,施工方法など様々な専門的な事柄がありますが、今回はDIYに関わりのある養生(ようじょう)について説明します。
まず、ここで言う養生とは、「生コンクリートを練り上げ、流し込みが完了した時点から、必要な強度を保持できるまでの間コンクリートを管理すること」を言います。
具体的には次の項目が挙げられます。
・ 雨や風にさらされないようにシート等で覆う
・ 振動や衝撃、さらには荷重をかけないようにする
・ 型枠を使用している場合、必要な期間、外さずにおく
・ 冬季には、コンクリートを温養生し必要な気温を保つ
・ 夏季には、急激な乾燥を防ぐために水分を与える
これらの作業をまとめて「養生」と言います。
2.作り方
ここまでの内容で、コンクリートの特性・使用する材料が分かりました。
それらを頭に入れた上で、今度は実際にDIYで使えるコンクリートを作っていきます。
また、コンクリートは生き物であるため、以下の内容に注意しなければなりません。
2-1.コンクリートを練るために必要な物
コンクリートを生成するためには、いくつか必要な道具があります。それらは下記の6つです。
・ 練りタル(バケツや大きめの容器でも可)
・ 砂
・ セメント
・ 砂利
・ 水
・ 練り混ぜるための鍬(くわ)
このとき、服装は汚れても構わない格好をしておきましょう。
2-2.コンクリートを流し込む前(練り上げる前)の下準備
流し込む前の下準備はとても重要です。
焦って先にコンクリートを練り上げてしまっても、すぐに施工しなければ材料が硬化してしまうからです。
そのため、コンクリートを流せる状況になっているかを今一度確認しておく必要があります。
例えば、土間コンクリートを作成する場合、下地状態や型枠(かたわく:コンクリートをせき止めるための枠)の有無、さらにはコンクリート中に入れる鉄筋の配置や高さのマーキングなどが挙げられます。
これらをすべて終わらせてからコンクリートを練り混ぜることにより、作業がスムーズに行えるようになります。
2-3.使用するコンクリートの量の計算
コンクリートを練り混ぜる際に気になるのが、材料の量です。使用するボリュームが足りなくなったり多すぎたりしてしまうからです。そのため、材料を用意する際は使う分だけを用意する必要があります。
コンクリートは、㎥(立方メートル)の単位で表されるのが一般的です。そのため、その量を算出する際は「縦(奥行)×横(幅)×高さ(厚み)」で求めることができます。
コンクリートの量を算出した後は、その計算結果をもとに使用する材料の数量を割り出します。
上記の図の場合、0.12㎥のコンクリートが必要になり、一般的なコンクリートの配合比 1(セメント):3(砂):4(砂利)という比率を元に計算すると、セメント1袋に砂3袋、砂利が4袋となります。(1袋25kg入りとして)
2-4.材料の練り合わせ
ここまでの段階を経て、いよいよコンクリートの作成に入ります。
材料の練り合わせの際は、練る容器の半分くらいの量を目安にして混練します。混ぜている時に材料が暴れるため、汚れたりこぼれたりしてしまうからです。
また、水を入れる際はあらかじめバケツ等の容器に入れて用意しておくと作業がスムーズです。
2-4-1.砂と砂利とセメントを混ぜる
まず、容器に砂とセメントと砂利を入れます。
このとき、入れる量の3分の2程度の量にすると練り混ぜるのに楽です。
また、セメントを入れる際は、粉じんが多く舞うため、周りに汚れると困るものが無いか確認しましょう。必要であれば、ゴーグルやマスクを着用してください。
鍬(くわ)やスコップなどを用いて良くかき混ぜます。この際に、水を先に入れてしまうと材料が硬くなってしまって混練しずらくなってしまうので注意してください。
完全に砂とセメント、砂利が混ざったら第一段階終了です。
2-4-2.水を入れる
次に、水を入れていきます。
一度に多くの量を入れてしまうと、練り混ぜるのに大変なので少しずつ投入します。
このとき、セメントが多量の水を含むとセメント水になり、あちこちに跳ねるので注意が必要です。そのため、慎重に混ぜ合わせるようにしましょう。
程よい硬さになったら完成です。
2-4-3.打設箇所により異なる水の分量
参考までに、セメント1袋(25kg)に対して水8リットル程度の量が一般的です。
コンクリートを水平に均したいのであれば、少し柔らかめ(水の分量を多めに)に生成すると、水が持つ水平になる性質を利用できるため、作業がしやすくなります。
ただし、傾斜のある箇所で使用するコンクリートの場合、固めに(水の分量を少なめ)に作成しないと、コンクリートが流れてうまく形成できなくなってしまいます。そのため、初めは水の分量を少なめにコンクリートを練り上げて、徐々に水を加えるようにしましょう。
2-4.完成・確認
セメントのやムラが無いことを確認して、きれいに混練できたら完成です。
コンクリートは、練り混ぜることがゴールではなく、ここから施工して初めて構造物となります。
練り上げたコンクリートで、どのような作品が出来上がるのかを以下に一例を挙げてみます。
3.出来上がったコンクリートを使う
出来上がったコンクリートで出来る工事を紹介します。
3-1.階段
上記の写真は、側面をブロックで囲い表面をコンクリートで作った階段です。
以下に作り方を説明します。
3-1-1.ブロック積み
まず、コンクリートを並べる位置と高さを決めて、マーキングします。このとき、使用したブロックの寸法は「高さ190㎜×長さ390㎜×幅100㎜」なので、それを考慮して大きさを決めた方が、仕上がりがきれい且つ作業しやすいです。
次に、ブロックを設置できるような高さまで地面を掘ります。
ブロックを設置する際は、コンクリートではなく「モルタル」(砂利を入れないコンクリート)を使用します。コンクリートを使用してしまうと、砂利の粒が邪魔をして精度よく物が固定できないからです。
また、使用するブロックの片側の縁をあらかじめハンマー等で落としておきます。
そして、ブロックが沈下しないように硬め(水の分量を少なめ)に混練したモルタルを敷いて、ブロックを乗せます。
このとき、ブロックの位置と高さ、水平の3つを確認します。
設置が終わったら、目地部分に少しだけ柔らかく(水の分量を増やした)したモルタルを充填していきます。
このとき、短く切った鉄筋を挿入すると階段の強度が増します。
3-1-2.コンクリートで踏面を仕上げる
モルタル硬化を確認して、次の作業に移ります。
ブロックの中を全てコンクリートにしてしまうと、多量のコンクリートが必要になってしまいます。そのため、コンクリートの厚みを、80㎜~100㎜程度確保できる高さまで土や砂利等で埋めます。
次に、ブロックと踏面のコンクリートの補強のために、鉄筋又はワイヤーメッシュを敷きます。これにより、階段が崩壊してしまうのを防ぐことができます。
ここまでの支度ができたら、いよいよコンクリートを作ります。ここで使用するコンクリートは、素人の方でも扱いやすいので普通の硬さ(水の分量)で大丈夫です。
そして、練りあがったコンクリートを、ブロックの高さに合わせて流し込みます。
このとき、コンクリートがよく下地やブロックとなじむように、コンクリートに棒やコテで振動をあたえてください。
最後に、金コテ(コンクリートを均す道具)できれいにならして完成です。上記の写真では、「刷毛引き(はけびき)」という仕上げ方法で、刷毛のあとをわざと付けました。
4.まとめ
上記で紹介した一例以外にも、花壇を作ったり段差に塗り付けたりして使用することができます。
ただ、DIYで使用するコンクリートの場合、強度が不安定です。そのため、車のような重い物が乗り上げる駐車場などを施工することはできません。
また、高さのあるブロック塀やフェンス工事など、倒れたり傾いたりする恐れがあるようなものは外構工事専門業者(エクステリア業者)のようなプロに依頼することをお勧めします。
見栄えが悪くなるだけならまだしも、人を傷つけるような事故が発生してからでは遅いです。
少し考えて「難しい」と思える工事をDIYにて行う場合、エクステリア会社に一度相談するようにしましょう。もちろん、弊社(MKプランニング)ではDIYのお手伝いを行っているため、ご要望にお応えします。お気軽にご相談下さい。