住宅を新築する際に、必ず外構工事(エクステリア工事)のことを考えなければなりません。
それは、家をさらに見栄えよくするためであったり、生活する上での不便な点を改善したりするためです。
例を挙げるなら、プライバシーや防犯効果のあるフェンスを設置することだったり、植栽を設けて外観を豊かに見せたりする工事です。
中でも、駐車場工事は必ずと言っても過言ではないほど必要です。
土のままの状態では、タイヤを汚してしまったり、雨天時に車が地面に埋まってしまったりする危険性があるからです。
このように最悪の状況になってしまっては、せっかくの新築が台無しになってしまいます。
そこで、駐車スペースを土間コンクリート(どまこんくりーと:地面に対してそのまま平面的に流し込むコンクリートのこと)にすることが多いのです。
ただ、コンクリート舗装をする際に、正しい施工が行われていないと、すぐにひび割れてしまったり最悪の場合、陥没したりしてしまう可能性があります。
これは、悪徳業者が不当に利益を得るために、材料を減らした結果だと思います。その結果、強度不足によりヒビが入りやすく沈んでしまうコンクリートになってしまったのです。
そこで本記事では、土間コンクリート舗装の正しい厚さについて解説していきます。
もくじ
1.土間コンクリートの上に何が乗るのか
「土間コンクリート舗装の上に、どのような車が乗るのか」によって、必要な強度は大きく変わります。
例えば、人が乗るだけの箇所とトラックが止まる場所では、コンクリートが受ける荷重が違うのは明らかなのは誰でも理解できます。
そこで、「土間コンクリートを強度のある物にしたい」と考えても、軽自動車用と大型トラック用の駐車場では金額に数倍~数十倍もの金額の差が出てしまうのです。
したがって、土間コンクリート舗装を考える際は、その上に乗る物を考慮する必要があるのです。
1-1.乗用車用の駐車場
一般的な家庭の駐車場は、これに属します。
以下で、簡単に手順を踏まえて解説します。詳しい工程は、「駐車場の土間コンクリート打ちの費用や単価を施工方法を交えて解説」をご覧ください。
まずは、コンクリートの仕上がりの高さより15cm下げて土を削り取ります。
下地は、砕石(さいせき:石を適度な大きさに砕いた砂混ざりの砂利)を5cm敷き、下記写真のような転圧機械(てんあつきかい:土や砂利に圧力をかけて締め固める機械)を用いて締め固めます。
乗用車用の駐車場では、特別な場合を除き、厚く砕石を敷く必要はありません。
その上に、下記写真のようなワイヤーメッシュ(鉄製の丸棒を網状に組み込んだもの)を敷き詰めます。これにより、コンクリートの強度が大幅に向上します。
このときのワイヤーメッシュの太さは、6mmのものが最適です。
次に、生コンクリートを流し込む工程に移ります。
このときの厚みは、10cmです。これより極端に厚すぎたり薄すぎたりすると、強度が著しく低下してしまいます。
薄すぎる場合、ワイヤーメッシュに沿ってヒビ割れが発生する可能性があります。
逆に、厚すぎるとコンクリートの自重にワイヤーメッシュが耐えられなくなり、割れてしまいます。厚い土間コンクリートの場合、ワイヤーメッシュではなく太い鉄筋を挿入しなければなりません。
生コンクリート流し込み後、時期によって変わりますが5~7日程度硬化期間を経て完成です。
広い駐車場の際は、ひび割れ防止の「伸縮目地」も挿入するのが一般的です。詳しくは、「土間コンクリートのひび割れ防止の伸縮目地の間隔や材料を紹介」をご覧ください。
1-2.大型の車が乗る場合
大型のトラックや機械が乗るような土間コンクリートの場合、荷重や台数などに合わせてコンクリートや砕石の厚さ、さらにはその下の地盤の状況等を考慮しなくてはなりません。
前項の乗用車用のコンクリートの上に大型車が乗ると、割れたり動いたりしてしまう可能性があるからです。
一般的には、土を40cm掘り下げ、15cm程度敷いた砕石の上に13mmの鉄筋をワイヤーメッシュのように組み込みます。このとき、鉄筋メッシュは2段編みます。
そして、生コンクリートをせき止めるための板を設置して生コンを25cm程度流し込みます。流し込みの際は、多量のコンクリートを使用することになるため、生コンを圧送するポンプ車と呼ばれる特殊車両を利用することが多いです。
1-3.人や自転車のみが通る土間コンクリート
人や自転車が通行するのみのコンクリートの場合、強度はあまり必要ありません。
ただ、砕石を敷かなかったりワイヤーメッシュを入れなかったりした場合、ひび割れの原因となってしまいます。
強度を要さない土間コンクリートであっても、下地をしっかりを作り割れ防止策を施さなくては、ボロボロの土間になってしまいます。
そのため、コンクリートの厚みを10cm以下にすることはありますが、乗用車用のコンクリート舗装とあまり変わらない仕様で施工するのが通常だと考えます。
2.地盤状況により異なる厚み
前項で紹介した厚みは、良い地盤状況の場合の例です。
もし、田んぼや畑などの柔らかい土の上に施工した場合、地面の中にコンクリートがめり込んでしまう危険性があるのです。
そのため施工会社は、現地調査の際に寸法や高さだけでなく土質にも目を向けなければなりません。
では、どのような地盤のときに、どのような施工を行えば良いのでしょうか。
2-1.良い地盤の場合
良い地盤とは、固い土のことを言います。
これは、車が土の上を走行しても、タイヤが埋まることない状況を指します。
ほとんどの新築現場では、駐車スペースを工事の際にも利用しているため、土が締め固まって堅い地盤が出来上がっています。
このような土の状態の場合、前項で紹介した厚みの砕石、コンクリートの施工をすることができるのです。しかし、これだけで判断できるわけではありません。
雨天時の地面の状況も、把握しなくてはならないのです。
土が水分を含んだ際に、ドロドロになってしまう土質の場合、砕石を2倍の厚みにする必要があります。これにより、表土が柔らかくなるのを防ぐことができます。
2-2.悪い地盤の場合
悪い地盤とは、歩行した際に靴が埋まってしまったり車が走行できなかったりする地面を指します。
このとき、「砕石5cmコンクリート10cmの土間コンクリート舗装」を行ってはいけません。なぜなら、悪い地盤はコンクリートの重みに耐えることができないからです。
しかし、悪徳業者は「コンクリートを設置すれば下地が悪くても大丈夫」などという言葉で、材料費を安く済ませようとします。
もし、田んぼや畑の中にコンクリートを設置した場合、重量により沈んでしまうことが容易に想像がつきます。
そのため、あまりにも柔らかい土が多い場合、表面の悪土を取り除き良い土(できれば砕石)に入れ替えて転圧を行った後、通常のコンクリート舗装の作業に取り掛かります。
大型の機械が乗るようなコンクリートの際は、杭を固い地層まで打つこともあります。
前項でも触れましたが、雨が降った際にのみ悪い地盤の場合は、10cm~15cm砕石を敷いてコンクリート舗装を行うこともあるのです。
ただし、これらの判断は経験のある人にしか分かりません。そのため、依頼の際は信頼できる施工会社に相談するようにしましょう。
まとめ
ここまでの解説で、砕石やコンクリートの厚みは理解できたことと思います。
通常は、「砕石5cmコンクリート10cm」の施工により十分な強度を保持できます。ただし、以下のことに気をつけなければなりません。
- 地盤が良好であること
- 転圧をしっかりと行うこと
- ワイヤーメッシュ若しくは鉄筋を挿入すること
- ひび割れ防止策を施すこと
また、地盤の状況であったりコンクリートにかかる荷重であったりする事項も、忘れてはいけません。土間コンクリートの強度や耐久性に大きく影響するからです。
このとき、悪徳業者は砕石を敷かずに施工しようとしたり、ワイヤーメッシュを挿入せずにコンクリートを設置しようとします。
このような会社に施工を依頼しないように、お見積り内容を確認したり施工方法を聞いたりして、どのような作業を行うのか知ることが必要です。
依頼の際は、土間コンクリートの強度はもちろんのこと、デザイン性にも意識して素敵なお庭造りを目指しましょう。
また、費用などの解説については「駐車場の土間コンクリート工事に必要な4つの費用や価格の知識」「土間コンクリート・駐車場工事会社を選ぶための3つのポイント徹底解説」をご覧ください。