あなたのお住まいの地域では、どれほどブロック塀が使われているでしょうか。
コンクリートの壁とは違い、施工性に優れているため、安価であったり化粧ブロック等のデザイン性に優れた商品が多く発売されていたりする利点があるため、数多くの場面で使用されています。
もちろん、コンクリート製の壁と比べたら強度は落ちますが、正しい施工によって地震や土圧(どあつ:土の重量により壁を倒そうとする力)に十分耐えることができるのです。
しかしながら、ブロックの壁を見ると、「ブロック塀は脆そう」「すぐに倒れてしまうのではないか」などと思われる方が多いのが現状です。
それは、一部の悪徳業者による手抜き工事や適切な点検(メンテナンス)が行われていないことで起こる事故により、本来のイメージが大きく崩れてしまっているのです。
そこで、本記事ではあなたが知っているブロック塀の倒壊による悲しい事故を思い出していただき、それに耐えうる強いブロック壁を施工するための鉄筋の大切さを学びましょう。
もくじ
1.ブロック塀倒壊事故例
冒頭で説明した通り、ブロック塀は正しい施工を行えば強度のある壁となります。
しかも、ブロック塀は重量物であるため、人や動物を巻き込んでしまえば、大怪我や時には命を奪う可能性もある非常に大切な壁であることは説明をするまでもないでしょう。
しかしながら、一部の利益優先の粗悪な工事により、悲しい事故が起こってしまうのです。
この項では、外壁ブロックが規定に従って作られていなかった際にどこまで危険か、そして実際に起こってしまった事故の事例を紹介していきます。
1-1.熊本北部地震の事例
地震で倒壊していったブロックの下敷きになって亡くなってしまった人の遺族らが、ブロック塀を所持していた男らに、約6800万相当の賠償金を請求し裁判をした事件です。
ブロックには支えとなるはずの控え壁がなく、基礎工事の鉄筋を入れる作業すらやっておらず、建築基準や施行令で定められている規定を満たしていなかった最悪の事故の事例です。
もちろんのこと、加害者は慰謝料などの賠償金請求だけでなく過失致死傷罪で訴えられています。
これは前述の通り、背の高いブロックに必要な控え壁が無く、さらには基礎部に鉄筋が挿入されていないというずさんな工事が原因です。
工事を行った業者はもちろんのこと、所持している方(居住者)にも責任があることですから、施工業者を金額だけで安易に決めてはいけないということがよく分かるでしょう。
1-2.大阪北部地震の事例
昨今では、一番よく知られている悲痛なブロック壁の事故です。
小学校内のブロック塀が倒れてしまい、登校中の4年生の子供が巻き込まれ、亡くなってしまった事件で、倒壊してしまった事故です。
塀はプールの基礎部分(1.9メートル)に1.6メートルのブロック塀を積み上げて作られていました。
これは前項の事件と同じく、建築基準や施行令で定められているものに違反しており、1.2メートルを超えるにもかかわらず控え壁がなくとても危険な状態で、この事件が起こってしまいました。
学校は「日常的な点検」と「日常環境の安全の確保」が必要な場所であるにもかかわらず、でどうしてこのような残念なことが起きてしまったのか。
このケースでは、上記図のような差し筋アンカーと呼ばれるものが使用されていました。
本来、地中からブロック塀の一番上まで1本の鉄筋でなければいけないのにも関わらず、実際は壁の真ん中あたりから短い鉄筋棒が挿入されているような状況でした。
これでは、強度のある壁であるはずがありません。
児童を守るための防護壁が、結果として子供の命を奪ってしまうことになるとは、大変残念でなりません。
このケースでは、上記図のような差し筋アンカーと呼ばれるものが使用されていました。
本来、地中からブロック塀の一番上まで1本の鉄筋でなければいけないのにも関わらず、実際は壁の真ん中あたりから短い鉄筋棒が挿入されているような状況でした。
児童を守るための防護壁が、結果として子供の命を奪ってしまうことになるとは、大変残念でなりません。
このケースも前項同様、利益優先の手抜き工事によるものです。
また、コストの削減からか、本来必要な点検を怠ったことにより、本来防げたであろう悲しい事故を起こしてしまったのです。
2.ブロック設置における正しい配筋方法
2-1.最低80cm以内に設置しなくてはいけない
ブロック塀の構造は、建築基準法で定められており、その穴の中には縦筋(たてきん:垂直方向に挿入する鉄筋のこと)と横筋(よこきん:水平方向に挿入する鉄筋のこと)を 80 センチメートル以内に挿入配筋しなくてはならないという規定があります。
もし、80 センチメートル以内に鉄筋を入れなかった場合、ブロック同士の結合が弱くなるため塀が崩れてしまう可能性が高くなってしまうのです。
その結果、構造上としてももろく脆くなってしまうので、壁内には、直径 9 ミリメートル以上の鉄筋を横縦 80 センチメートル以下の間隔で配置することが定められているのです。
もちろん、ブロックの高さや壁にかかる力の具合等に応じて、間隔を狭めたり挿入する鉄筋の径を太いものに変更したりする必要があります。
2-2.差し筋アンカーはしてはいけない
前項で説明しましたが、差し筋アンカーとは、鉄筋が差してあるだけです。
この状態では、斜めに倒れてしまったり、倒壊の危険がかなり高くなってしい大変危険なブロック塀となってしまいます。
前項のような悲劇を繰り返さないためにも、ブロック塀を設置する場合は、ブロック塀診断士が在籍している専門業者に依頼しましょう。
専門知識を持っているため、崩れにくい頑丈なものになるのはもちろんのこと、定期点検も安心して任せることができることでしょう。
2-3.鉄筋が入っていないブロック塀は必ず倒れる
鉄筋の入っていないブロック塀は、少しの地震だけでもひびが入りすぐに崩れていまい、もちろん長持ちもしません。
縦筋横筋両方とも、80センチメートル以内に必ず鉄筋を入れなければならない規則があるのにもかかわらず鉄筋なしなど鉄筋があるのと比べ強度が全く違います。
また長持ちもしないためコストもかかってしまいます。
激安をうたい文句にして売り出している一部の業者には要注意です。
多くの利益を生み出すために、高さの低いブロック塀には鉄筋を入れないことがあるからです。
このようなことにならないためにも、あなたが信頼のできる外構工事専業者(エクステリア会社)を探すようにしましょう。
まとめ
この記事では、悲しい事故を教訓に、どのようにすればこのような悲しい事故が再度起きてしまうことを防止できるか、またどのようなブロック塀がすぐに崩れてしまうかを紹介しました。
ここまで読んだあなたに言うまでもありませんが、ブロック塀は規則に従い、基礎からしっかり作らなければ地震などの際簡単に倒れてしまうのです。
くどいようですが、悪徳業者による利益優先の手抜き工事は本当に危険です。
工事をお考えの際は、必ず優良な工事業者に相談するようにしましょう。
また、ブロック塀をお考えの際は、弊社(MK プランニング)にも在籍しておりますが、必ず「ブロック塀診断士」がいる会社に依頼するようにしてください。
日本エクステリア協会からも、間違った知識や施工が数多く発生しており、注意喚起しています。
あなたもその被害者にならないよう、正しい知識を身につけてください。
また、以下の記事も併せて読むことで、さらに多くの知識を得ることができます。
・ 「ブロック塀の解体及び撤去工事の金額・費用を解説します」