土間コンクリートとは、平面状に引き詰めるコンクリートのことを言います。
お庭の工事や新築の際に、一度は聞く単語ではないでしょうか。
駐車場を土間コンクリートにしようと考えた際、どのようにして優良業者に依頼すれば良いのでしょうか。
高品質のコンクリートにするためには、下地や強度、さらには仕上げ方法などさまざまな工夫や技術が必要になってきます。
本記事ではタイトルにもあるように生コンクリートの配合について簡単に説明していきます。
『多少高額でも高ければ安心』『できるだけ安く済ませたい』など安易な理由で考えていると、悪徳業者に引っかかり、適材適所を問わず無駄に強度の高いコンクリートを使い、相場より高額に請求されてしまうこともあるのです。
例を挙げると、「ウチは高品質のコンクリートを使用しているから安心ですよ」という謳い文句を挙げ、実際はそれほど高額の生コンクリートを使用していないのにも関わらず、過剰な請求をする業者を耳にします。
逆に、生コンクリートの配合の知識が乏しく、力がかかる土間に対して低い強度のコンクリートを使用してしまう悪徳業者がいることも事実です。
このようなことにならない為にも、この記事を読んでいただき、優良業者に出会えるよう知識を身につけましょう。
もくじ
1.コンクリートの設置箇所について
この項では、配合について考える前に、設置箇所ごとによるコンクリート化への意味やどのような力がかかるのか考えてみましょう。
様々なシーンで使用されますが、外構工事でよく使われる3つのシーンに分けて解説していきます。
これらを知ることで、次項で考える強度を考慮した配合について理解度が増すことでしょう。
1ー1.駐車場の土間コンクリート
外構工事の中ではもっともポピュラーなコンクリートです。
駐車場をコンクリート化することにより、あなたの車の泥汚れを防ぐことができたり、砂利や土の道路への飛散を防ぐことができたりします。
アスファルトを使用される方もいますが、コンクリートの方が耐用年数も約4年ほど長く、熱を蓄えにくいといった利点が特徴です。
これらの理由から、駐車場には土間コンクリートが採用されるのです。
強度について考えた際、駐車場ですから2t近くもの車が乗ることを考えて適切な強度の生コンクリートを使用したい設置箇所の1つに挙げられます。
1-2.構造物の基礎コンクリート
構造物の基礎コンクリートとは、人目につかない箇所が多いですが、とても大切なコンクリートです。
例を挙げると、ブロックをただ重ねただけでは倒れてしまうことが容易に想像できるはずです。このとき、倒壊しないように基礎を作成して強いブロック塀を作成するのです。
他には、家などの土台で使われたり、橋の下を支えるコンクリートなどもあります。
外構工事で例えると、2mほどの高さの擁壁(ようへき:コンクリート製の壁)やタイル下地といった箇所に当たります。
擁壁の場合、何十トンもの土を支えるための構造物になる為、当然強度も考えた施工が必要になります。
1-3.設置物の墨出し・据え付け用コンクリート
こちらのコンクリートは、目につかない所に設置するコンクリートです。
主には工事を施工するために、仮に敷き詰めるものになります。
建設業界では、「捨てコン」とか「均しコンクリート」などと呼ばれます。
これを施工することにより、線を描いたり、釘を打ちつけたりすることができるようになるので、正確な構造物の設置ができたり、作業の位置や高さを高精度で示すことができるようになるので、工事には欠かせないコンクリートになります。
仮に敷き詰めるものになりますので、強度は考えななくても良いでしょう。
2.生コンクリートの配合について
続いては、生コンクリート(固まる前のコンクリート)の配合について記述していきます。
生コンクリートは、工場に「1tください」と電話しても配達してもらえません。
使用する生コンクリートの配合を伝えなくてはいけないのです。
大まかに説明すると、下図の項目が必要になるのです。
砂利の大きさやセメントの種類については、かなり特殊になる為、この項では割愛させていただきますが、「呼び強度」と「スランプ」について、解説していきます。
もちろん、生コンクリートの配合の他に下地や施工方法も重要です。以下の記事も合わせて読んでみてください。
・ 土間コンクリートのひび割れを防ぐ鉄筋やワイヤーメッシュとは
・ 駐車場の土間コンクリート舗装の厚さと砕石の厚みは15cm必要
2-1.生コンクリートの配合による強度
前述の(18)ですがこれは「呼び強度」と呼ばれます。これは単純にコンクリートの強固を表しており、記号ではN(ニュートン)と表記されています。
この数値を大きくすればするほどセメント量が増加して、強度はもちろんのこと粘り気も増えます。
一般的なコンクリートですと(18)を使用しますが、構造物になると(21)(24)といった高強度のものが使われるようになります。
更に詳しく説明すると、寒い時期や熱い時期は3~6Nの呼び強度を上げることにより呼び強度を上げる必要があります。これを「温度補正」と呼びます。
それは、暑い時期は急激な乾燥による多くのひび割れを防ぐためであったり、急激な収縮によるコンクリート中の隙間をなくすためであったりします。
逆に、寒い時期は硬化に多くの時間を要する為、強度を上げることにより予定している期間で既定の強さをコンクリートを作ることができるのです。
呼び強度が高ければ高いほど、生コンクリートの単価は上昇します。
2-2.生コンクリートのスランプ
前述の(15)の値ですが、これは「スランプ値」と呼ばれる値です。
スランプとは固まる前の生コンクリートの粘性の数値です。この数値が大きいほど粘性値が高くなり柔軟性も良い生コンクリートになります。
一般的にはスランプ値が低い、すなわち硬い生コンクリートの方が強いコンクリートを作ることができるとされています。
しかしながら、硬ければ硬いほど作業性が低くなってしまいます。
例を挙げると、平らな土間を作成する際に、水のようなものと砂利ではどちらの方が平らになるでしょうか。
このことから、外構工事では(15)、(18)といったスランプ値の生コンクリートが多く使用されています。
ここで注意しなくてはいけないことが、「加水」です。
これは、注文した生コンクリートに現場で水を加えて柔らかくすることを言います。
一部の手抜き業者は、前述の通り柔らかいものの方が施工しやすいことを知っているため、ミキサー車の中に大量の水を投入して作業してしまうのです。
加水してしまうと、コンクリートの強度は低下してしまい、ヒビが入りやすくなったり、コバが欠けやすくなってしまったりします。
そのため、加水は絶対にしてはいけない行為なのです。
2-3.設置場所ごとの適切な配合
前項で挙げた3つの設置箇所ごとに、大まかですが簡単な配合の解説をしていきます。
※ここで紹介する配合は温度補正を考慮していません。
2-3-1.駐車場の土間コンクリート
駐車場の土間コンクリートでは、「21-18-25」が一般的だと思います。
勾配がきついと作業がしずらくなってしまうので、「21-12-25」などというスランプ値を下げたものが使用されたりもします。
また、トラックなど大きな車が乗り入れるところでは、コンクリートを厚くして「27-15-25」といった高強度のコンクリートを使うこともあります。
2-3-2.基礎コンクリート
基礎コンクリートは、言うまでもなく強度を要するコンクリートです。
そのため、家の基礎となるような箇所では、「24-12-25」のような高強度で粘性のある(水っぽさがない)生コンクリートが使用されることが多いです。
外構工事で使用されるブロック塀の基礎でも同じような強度のものを使用することが多いでしょう。
2-3-3.均しコンクリート
これは、仮で設置するコンクリートのため、強度はあまり気にせず設置します。
「18-18-25」や時には「16-18-25」などといった、低強度のコンクリートが使用されます。
まとめ
ここまで読み進めたあなたには言うまでもありませんが、生コンクリートの配合はコンクリートの強度にとって非常に重要です。
また、外構工事を依頼する会社がこれらの知識を有しているかどうかでも優良業者を見つける大きなポイントになるのではないでしょうか。
悪徳業者は、「高強度を謳って高額な工事を請求する」「安い工事の代わりに低強度の生コンクリートを使用する」「生コンクリートに加水する」などといった行為を行いますので要注意です。
優良な業者は、御見積書に配合を記してあったり、図面や口頭で説明があることもあります。
それらのポイントを踏まえて業者を探すことで、より質の高い外構工事を行うことができるのではないでしょうか。
以下の記事を合わせて読むことで、さらに多くの知識を得ることができます。
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