土間コンクリートのひび割れ防止の伸縮目地の間隔や材料を紹介

住宅の駐車場を作成する際、砂利敷きや生コンクリート打設(だせつ:生コンを流し込むこと)、さらにはアスファルト舗装などといった様々な工事が考えられます。

それぞれ特性がありますが、中でもコンクリートは施工性や見栄え、高強度の点から一般住宅の駐車スペースに最適な材料です。そのため、どこのお宅にも必ずと言ってもいいほど使用されているのです。

しかしながら、コンクリートにも弱点があります。

それは、乾燥や振動により、ひびが入ってしまう性質を持っていることです。

そこで、コンクリートの中に伸縮目地(しんしゅくめじ:コンクリート表面のひびを発生するのを軽減させるための材料・または隙間)を設けます。これは、土間コンクリート(どまこんくりーと:地面に対してそのまま平面的に設置するコンクリート)工事の際には必ず考えなければならない作業です。

さらには、見栄えにも大きく影響するため、駐車場工事の際には一緒に考えなくてはならない項目です。

そこで本記事では、土間コンクリートに設ける伸縮目地について紹介します。

もくじ

1.伸縮目地を設ける理由

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冒頭でも述べた通り、コンクリートに「伸縮目地」を設けなければ、たちまちヒビが入ってしまいます。

ただし、目地を設置したからといっても、亀裂はいずれ入るでしょう。なぜなら、今の科学では完全にヒビの入らないコンクリートは存在しないからです。生コンの中に含まれる水分が、2年程度の期間を経て少しずつ乾燥し、それとともに収縮することを防ぐことができないためです。

「ひび」と一言で言っても様々です。大きなひびから小さなものまでありますが、ヘアークラック(髪の毛の細さくらいのひび)と呼ばれる亀裂は、強度に支障はありません。

そこで、大きなひび割れを防ぐために生コンクリートの中に、下記写真のようなワイヤーメッシュと呼ばれる金網を挿入します。

ワイヤーメッシュ

これにより、大きな亀裂を防ぐことができます。しかしながら、細かいひびがたくさん発生してしまうと美観を損ねてしまいます。

そこで、小さなひび割れを防ぐために「伸縮目地」を設けるのです。

これにより、コンクリートの乾燥による収縮であったり、熱による膨張だったりする伸縮を緩衝材などによる目地部で解消します。

2.伸縮目地を設ける間隔

 

前項では、伸縮目地の設置理由について触れました。

では、目地を多く設置することにより、ひび割れを防止することができるのでしょうか。それらをこの項で解説していきます。

一般的には、広い面積の場合、10~15㎡(平米)以上にならないように土間コンクリートを区切ります。一方、幅の狭い通路の場合は、3~4mに一本目地を設けます。

この目地のピッチには、高強度のコンクリートを長期に渡って保つための理由があります。

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伸縮目地を設ける際、上記図のような断面になっています。

図を見ると分かる通り、コンクリートを寸断して目地を施工します。つまり、伸縮目地の設置をすると土間コンが小さく区切られるということです。

そのため、ひびを気にし過ぎて多数の目地を設けると、土間コンクリート1スパン当たりの重量が軽くなってしまいます。そこに車が乗った場合、軽すぎるコンクリートが動いてしまう可能性があるのです。

そこで、この項の冒頭で述べた通り、適切な間隔への設置が必要となります。

3.目地の種類

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ここまでの解説で、伸縮目地の目的や必要性が理解できたはずです。

では、実際にどのようなものを使用するのでしょうか。この項では、目地の種類を紹介します。

3-1.エキスパンタイ

上記写真は、「エキスパンタイ」という名称の伸縮目地です。

土間コンクリートの目地専用の商品で、このようなタイプのものを使用するのが一般的です。

グレーの部分がスポンジになっていて、コンクリートの膨張だったり収縮であったりする変化を吸収することができるのです。

スポンジ上部の黒いふたのような箇所は、柔らかいスポンジが曲がりにくいようにするための補強材です。

伸縮目地の中でもシンプルでスマートな物になりスタイリッシュに仕上がります。

3-2.エラスタイト

上記写真の製品は、「エラスタイト」と呼ばれるものです。

アスファルト混合物でできていて、主に土木工事で使用されることが多いです。

厚み1cm程度の1m×1mの商品で、板状になっています。そのため、様々な形状に切断して設置することができます。

外構工事では、隣のお宅の壁とコンクリートを接着させないようにエラスタイトを張り付けて縁切りしたり、前項のエキスパンタイを使用できないような厚みのコンクリートの場所で使用します。

3-3.レンガ

 

上記写真のように、コンクリートの中に模様のように設置するレンガを「レンガ目地」と呼びます。

これは、伸縮目地のような素材ではありませんが、広い面積の土間コンクリートを断ち切ることができるため、ひびを目立ちにくくする上では有効な手段です。

さらに、エキスパンタイやエラスタイトよりも見栄えが良いため、使用される頻度が高いのです。また、駐車場のコンクリートに設置する場合、車を止める際の目安のラインにもなります。

3-4.玉竜(たまりゅう)目地

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玉竜とは、細長い葉を生い茂らせる小型の植物です。日当たりの良し悪しにも影響されにくいため、土間コンクリートの目地部に植えつけられることが多いです。

レンガと同じく、伸縮目地ではありませんが、コンクリート1スパン当たりの面積を小さくするために隙間を設けて、硬い印象を持つ土間に緑を入れる手法です。これにより、大きなひび割れを防ぎつつ美観を保つことができます。

3-5.砂利目地

 

上記の写真のように土間コンクリートの目地部に砂利を敷くことを「砂利目地」と呼びます。

この施工方法もレンガ目地同様で広い土間コンクリートを断ち切り、どうしても入ってしまうヒビを目立たなくする有効性があります。さらに、この中でも安価に施工ができる工事です。

また、お庭に同じ砂利を敷くとマッチしてデザイン性もシンプルに仕上がります。

まとめ

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ここまでの解説で、伸縮目地の役割や種類について理解できたことと思います。

本記事での結論は、広い面積のコンクリート工事を目地無しで行ってはいけないということです。

施工当初は、きれいに見えますが必ずクラックが入ってしまい、美観を損ねてしまうことになってしまいます。コンクリートは、適切な作業を行うことにより長期にわたって、美観を保つことができるのです。

ただ、ひび割れを気にしすぎて殺風景なお庭にならないように気を付けましょう。目地部を利用して模様や色を楽しむことも大切です。

あなたが、駐車場の土間コンクリートを希望する際は、「伸縮目地」について考えてみてください。

デザインはもちろん、コンクリートの強度までも長期に渡って考えることができるでしょう。そのときは、本記事で解説したことを思い出してください。

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