発生残土処分・盛土費用の仕組み:GLとは?

住宅を建築したり外構工事(エクステリア工事)を行ったりする際、設計通りの高さに建物や製品を設置するための基礎を設けます。

このとき、構造物を設ける場所には余分な土が発生します。これを残土と呼び、処分することを「残土処分(ざんどしょぶん)」と呼びます。一方、低い敷地に土砂を盛り上げて高さを上げることを「盛土(もりど)」と呼びます。

これらの作業は、バックホウ(ショベルカー)のような重機を使用したり、ダンプトラック(荷台を上げて土砂を落とせるようになっているトラック)を活用したりする大掛かりな工事です。そのため、数十万から中には100万円を超えるようなことになることもあります。

なぜ、このような金額が発生するのでしょうか。

そこでこのページでは、残土処分のひようが高くなる理由について、詳しく解説していきます。

あなたが家を建てたりエクステリア工事を行ったりするときに、見積書に残土処分や盛土という言葉が出てきた場合、これを見るだけでその作業内容や内訳を知ることができます。

もくじ

1.なぜ残土処分が発生してしまうのか?

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敷地の高さを変えずに建物を建てる場合、必ず残土処分費用が発生してしまいます。

なぜなら、家には基礎と呼ばれる地面に潜る部分があるからです。土の中に入れることにより、基礎は土圧(どあつ:土が流れようとする圧力)を四方から受け、動かない頑丈なものとなります。

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上記図のように、地面に基礎を潜り込ませると、その分の容積に土が不要なものとして発生してしまいます。これを「残土」と呼び、運搬して処分するのです。

「余った土は周りに敷いてしまえば良いのでは……?」と思う方もいるかもしれません。

しかし、建物の周りは「GL(別名グランドレベル)」と呼ばれる高さに設定されているため、これを守らなければ、水はけが悪い庭になってしまいます。

2.GL(グランドレベル)とは?

建物を設計する際に、敷地の高さを設定します。

この土の高さの基準のことを「GL(グランドレベル)」と呼びます。

構造物の基礎(主に地面に埋まっているコンクリート部分)や外部の水道管や排水管、外構工事(エクステリア工事)などはこのGLの高さを基準に施工します。

もし、これを無視して作業してしまうと、床下浸水の原因になったりお庭に水たまりができたりしてしまいます。

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上記図のように、GLよりも高すぎたり低すぎたりすると、土のトラブル以外にも様々な問題が起きる可能性があります。

例えば、GLを基準として適切な高さに水道管を設置したにも関わらず、むやみに地面を掘ってしまうと水道管が露出してしまうことになります。水道やガスのパイプは、1mも2mも下に埋まっているわけではないからです。そのため、建築する際には、すべての作業はGLを基準とした施工が行われます。

これは水道管に限ったことではなく、建物の基礎についても同じです。通常の基礎は、地面よりも「20cm程度」しか埋まっていません。

もし、敷地の高さをそれ以上下げる予定がある場合、あらかじめ伝えておかなければ基礎の補強が必要となってしまいます。

つまり、敷地の一部の高さを変えたい場合、建築の際に伝えておかなければ余分なお金がかかってしまう可能性があります。

なお、悪徳業者の場合は、余分な費用を浮かせるためにむやみに敷地の高さを変えてしまうことがあるので注意が必要です。

これらのことから、建築工事の際には外構工事が始まる前に、お庭の高さの計画もしておきましょう。

3.残土量の計算方法

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残土の量の単位は、㎥(立方メートル)もしくはt(トン)で表されます。

比重は、土によって違いますがおおよそ「㎥×1.6倍」です。この項では、t(トン)で統一していきます。

ただし、土量は単純に構造物の容積を計算して1.6倍すれば残土量が分かるわけではありません。土は、ほぐすと膨らむからです。

以下で、順を追って、説明していきます。

※ここで言う構造物(こうぞうぶつ)とは、「塀やコンクリートなどの物」を指します。

3-1.土は膨らむ

土は重量や雨、さらには踏まれることで締め固まっています。そのため、堀り起こした土は「1.25倍」ほど容積が膨らんでしまうのです。

一方盛土の場合は、逆に締め固まるため、盛り上げたい容積の1.25倍の土砂を用意する必要があります。

つまり、単純に容積を計算しただけでは数量は出ません。この「土のふくらみ係数」以外にも、次項のようなことも考慮しなくてはいけません。

3-2.土を仮置きするスペースがあるか?

工事の際に発生する残土量は、「構造物×1.6×1.25」で計算できることが分かったはずです。

しかし、実際に掘る土の量はこれではありません。なぜなら、作業スペースを確保するために構造物よりも広く掘る必要があったり、砕石(さいせき:石を適度な大きさに砕いたもの)を敷くためにより深く掘ったりする必要があるからです。

このとき、掘った土を仮に置くためのスペースがないと、土をすべて別の場所へ搬出しなければいけません。さらには、埋め戻す際に再び土砂を搬入しなくてはならないため、高額のお見積りとなってしまうのです。

4.残土処分費用について

ここまでの説明で、残土処分の必要性や計算方法が分かったことと思います。

それでは、土の処分費用はどのような仕組みになっているのかをここで説明します。残土処分費用は、下記図のような仕組みになっています。

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これらは、量が多くなればなるほど割安になります。

逆に、極端に少なかったり重機を使用できないような狭小地であったりする場合、割高となります。重機を半日しか使用しなくても1日分経費がかかったり、スコップでの作業は効率が悪かったりするからです。

その他、量が多いのにも関わらず、大きなダンプやショベルカーを使用できない際も、処分費が高額になってしまいます。

なお、処分費用に関しては、地方により大きなばらつきがあります。

地域によっては、処分費用が0円でできることもあるので、「重機費用+運搬費用+人件費」のみの金額で済むこともあります。この際は、1t(トン)当たり1,000円以下で処分できることでしょう。

逆に、処分費用が大変高額である場合、1t(トン)当たり10,000円以上掛かることもあります。都会の方では珍しくないケースであり、狭小地が多く条件が悪かったり近くに処分場が無く運搬費がかさんだりするだけでなく、処分費用そのものが8,000円程度必要なことがあるからです。

そのため、残土処分費用に不安がある際は、お近くの外構業者(エクステリア業者)に「残土処分費用は1t(もしくは1㎥)当たりいくらかかりますか」と問い合わせしてみましょう。

一方、盛土の場合は「重機費用+運搬費用+人件費+土砂購入費」の合計の金額がかかります。価格については、残土と同じように変動します。

これらの金額は、素人では分からないことであるため、悪徳業者は高額の残土処分費を請求します。

また、お見積書に「残土処分費は別途請求します」などと記載してある際は、大変危険です。工事が完了してから、高額の追加料金を請求するからです。

そのため、お見積もりの際に前述の事柄が記載されていた場合、「残土処分費用はおおよそいくらですか?」と聞いてみるようにしましょう。

まとめ

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ここまでの説明で、「残土処分費用」「盛土費用」「GL」についての知識が備わったことと思います。

建築の際には、エクステリア工事の時に困らないようにあらかじめおおよその計画をしておくことが必要です。

さらには、GLの確認も大切です。建築会社の監督には、「GLはどの高さになりますか」と現地で確認をすることをお勧めします。もし、確認をしないまま工事をしてしまうと、完成時に「思った高さと違う」なんてことになってしまっても後の祭りです。

また、残土処分費用に関しては、建築の際にも発生する費用なので注意が必要です。追加工事として作業をされてしまうと、あとで高額の請求があなたのもとにきてしまいます。

なお、ハウスメーカーやホームセンターの工事の際は、下請け会社が処分するため、マージン料が上乗せされています。そのため、専門業者よりも2~3割程度高額の費用が掛かるため注意するようにしましょう。悪徳業者の場合はさらに最悪で、高額の単価で水増しした量の残土処分費用を請求される可能性があります。

これを防ぐためにも、事前におおよその量と料金は確認しておくようにしましょう。

残土処分費用や工事金額について、不安な際は、お近くの外構業者(エクステリア業者)に一度問い合わせをしてみることを強くお勧めします。

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