今や、自動車は一家に一台ではなく、「一人一台」の時代となっています。そこで問題になるのは、駐車場の確保です。
一般的な分譲地の宅地では、駐車スペースは1~2台です。また、一昔前に建築した住宅であっても2台程度のスペースが一般的です。なぜなら、決められた面積の敷地に対して建物・お庭・物置などを設置すると、どうしても駐車場の広さに限りがあるからです。
今回、弊社(MKプランニング)へ工事を依頼していただいた、裾野市千福が丘にお住いのD様は、夫婦で自動車を所持していました。しかし、お子さんが成人して車を所持することになり、駐車スペースに困っていたのです。D様の場合、お庭が広く駐車場を作成する余裕があったため、駐車場を広げることができました。
そこで、本記事では2台分のスペースの駐車場を4台止めることのできる広さに拡張した実例を紹介します。
もくじ
1.お問い合わせから契約まで
この度、D様より「今お庭になっているスペースを駐車場に変えたい」というお問い合わせをいただきました。
現地調査に伺ってみると、上記写真のようにクローズドスタイル(建物が、塀やフェンスなどで囲まれている庭)の外構工事が施されていたため、壁やフェンスを移動する必要がありました。駐車場を拡張する場所は、下記写真の右側の花壇スペースです。
また、水道管やガス管などが埋まっている可能性があるため、慎重に調査を行いお見積りしました。もし、水道管などが出てきた際は、駐車場の高さよりも低く配管し直さなければならないからです。
お見積書をD様のもとへ持っていくと、「この金額でお願いします」と快諾していただけたため、ご契約となりました。
2.工事の流れ
この項では、実際に行った作業内容を説明していきます。
まずは、お庭の解体作業となります。内容は、上記写真左側の古くなったカーポートの解体、拡張箇所のタイル壁の解体、そして庭木の撤去です。また、花壇スペースが駐車場よりも50㎝ほど高くなっているので、土の処分も行いました。
解体が終わった後、カーポートの新規設置工事、タイル壁の作成、さらには土間(どま:地面に対して直接、平面的に設置するコンクリート)コンクリートを増設しました。
2-1.工事着手
晴天の日を迎え、いよいよ工事着手となります。
まず初めに、フェンスを一度解体します。このとき、最後にもう一度復元しなくてはならないため、ボルトなどは袋にまとめ、製品は傷をつけないように慎重に作業を行いました。
その後、ショベルカー(上記写真に写っている建設機械)を道路に下さなくてはならないため、傷がつかないようにゴムマットを敷きました。このように、傷がつかないようにしたり汚れないようにしたりすることを「養生」と言います。どの作業においても、養生は必要となるため覚えておきましょう。
次に、タイル壁を解体するために壁際の土を取り除いていきます。
もし、土砂がそのままになっていた場合、両側から壁を壊すことができないため、斫り(はつり:コンクリートを壊したり削ったりする作業)作業が困難になってしまいます。さらには、壊した際に土とコンクリートが混ざってしまって適切な処分ができなくなってしまいます。
2-2.タイル壁の解体・残土の搬出
次に、タイル壁を解体します。
壊したコンクリートガラやタイルは、分別をして処分場へと運搬して、処理しました。
また、花壇があった場所は、車が乗り入れできるようにするため、土砂を搬出しました。これを「残土処分」と呼びます。
これについて詳しくは、「発生残土処分・盛土費用の仕組み:GLとは?」をご覧ください。これを読むことで、残土についての知識を身に着けることができます。
2-3.ブロック塀の新設
次に、タイル壁の下地となるブロック塀を作成します。
倒れにくい壁にするために上記写真のような基礎(きそ:地中に埋まっている構造物を支えるためのコンクリート部分)を設けました。これはブロックを積む際にとても重要な家庭になります。もし、これがなければ簡単に壁が倒れてしまう可能性があり、怪我の恐れもあるため危険性が大いにあります。
しかし、壁際にカーポートを設置するため、基礎部分が干渉してしまうので、あらかじめ柱を埋め込む必要がありました。そのため、上の写真のように位置や高さ、さらには垂直を正確に計測し、万力(材料など挟んで固定する工具)で固定しました。また、柱には傷がつかないようにゴム製の物を挟んであります。
次に、上記写真のように、新たに設ける駐車場とお庭スペースの土留め(どどめ:土砂が流れ出ないようにするために設ける壁)のために、先ほどの基礎の上にブロックを積んでいきます。
一番上の段のブロックには、フェンスの柱を埋め込みました。
これで、タイル壁の下地壁の完成です。
2-4.カーポートの組み立て
次に、カーポートを組み立てます。
強度がとても重要になってくるため、弊社では使用するネジの本数を通常よりも増やして施工しています。これにより、パーツ同士をより強く結合させることができるからです。
すべての部品をつなぎ合わせて、屋根を張っていきます
最後に屋根へと水をかけ水漏れが無いのを確認し完成です。
2-5.駐車場のコンクリートの施工
ここでようやく駐車場の土間(どま:地面に対して直接、平面的に設置するコンクリート)工事に取り掛かります。
断面は、上記図のような構造になっています。
まずは、土の上に砕石(さいせき:石を適度な大きさに砕いたもの)を5cm敷いて、転圧機(締め固める機会)で転圧します。これにより平らになり、生コンクリートを均等に配ることができるため、コンクリートがひび割れたり陥没したりしない地盤が出来上がります。
次に、ワイヤーメッシュと呼ばれる金網を並べていきます。なかには、コストを削減してワイヤーメッシュを埋め込まない悪徳業者もいます。これを生コンの中に埋め込むことにより、より一層強いものになります。
カーポートの柱、量水器当たりなどは土間コンクリートの幅が少ない面が出てきてしまいます。そのような箇所はヒビが入りやすくなってしまいます。
そのため、カーポートの柱の周りなどには補強、ひび割れ防止として、下記写真のように鉄筋を挿入します。
これにより、カーポートの振動によってコンクリートが痛むのを防ぐことができます。
ここまでの段階を経て、いよいよ生コンの流し込みとなります。流し込む際に必ずワイヤーメッシュを持ち上げ、生コンと絡めていきます。
作業時は、水がたまらないように平らにすることを意識して行います。また、表面が凸凹にならないように、硬化状況を観察しながらコテ均しを行いました。
最後に、車や歩行者のスリップ防止のために表面を刷毛引き(はけびき:ホウキの刷毛目をつけること)仕上げにして完成です。
また、土間コンクリートの経年劣化によるひび割れは今の科学ではどうしても防ぐことができません。しかし刷毛引き仕上げにはスリップ防止のほかにヒビを目立ちにくくする効果があり美観を長年保持することができます。
2-6.タイル貼り・フェンスの復旧
最後に、ブロック壁にタイルを貼り付けます。
また、フェンスの復旧もし、きれいに整地(せいち:土をきれいに均すこと)をして完成です。
まとめ
D様の場合、工期(こうき:工事の期間・期日)が限られていました。息子さんの納車日が決まっていて、駐車することができないからです。
しかしながら、天気の助けもあってか無事にお引き渡しをすることができました。
例えば、1か月5千円の駐車場を借りている方は、10年で60万円の賃料を支払うことになります。これだけのお金を捨ててしまうことになるのです。
しかし工事を行うことによって、自宅に駐車することができて利便性が良くなることはもちろんのこと、結果的に経済的にも安く済む可能性が高いです。
したがってD様のように、駐車スペースが少なく拡張したいと考えている場合、お近くの外構専門業者にお問い合わせすることをお勧めします。
D様、この度は工事のご依頼をいただき本当にありがとうございました。これからも、末永くD様のお庭のサポートをさせていただきます。