あなたのお庭を「DIY」で作り上げようと思いませんか。
しかしながら、一般的なDIY(でぃーあいわい:自分自身の手で作り上げること)では、素人の方がすべて作業や支度を行うため、本格的な施工を行うことができません。
安全な工事ができないからです。
そこで、初めてDIYを行う方であったり多くの不安を抱えていたりする場合、「ハーフDIY(作業を業者とあなたで行うこと)」をお勧めします。これにより、本格的で大掛かりな工事を外構専門業者(エクステリア業者)が行い、素人でも可能な部分をあなたが作業するだけで良いのです。
例えば、フェンスを作成する際に、柱を埋め込む基礎部分を素人の方が行うと、柱を垂直に建てることが出来なかったり強度のある基礎を施工できなかったりするため、大変危険です。そのため、基礎及び柱を専門業者が行い、フェンスの組み立てを素人の方が行えばよいのです。
本記事では、このように重要なポイントを業者が作業し、デザイン面などの表面的な部分を素人の方が行う「ハーフDIY」を実際に行った浜松市浜北区で行った、相原様邸の工事の事例を紹介します。
もくじ
1.お問い合わせから工事の依頼を受けるまで
この度、相原様より「お庭に水が溜まって困っている」「暗渠排水(あんきょはいすい:地中に管を埋めて水はけを良くする排水方法)を設置したい」というお問い合わせをいただきました。
まずは、相原様より住宅の図面を見せていただき、現地状況を把握しました。すると、水が溜まっている地点から暗渠排水の水を流すための側溝までの距離が長く、作業が困難なことが分かりました。
暗渠排水は、上記図のような構造になっているため、適度な深さに設置しなければなりません。そのため、暗渠に水勾配(みずこうばい:水を流すための傾斜)を設けると、最終地点ではかなりの深さになってしまうため、敷地の条件が揃わなければ施工できないのです。
前述のことから、相原様には暗渠排水ではなく側溝を設ける排水方法を提案しました。これは、水はけを改善することはできませんが、側溝に水が流れるように敷地に水勾配を設けることで水たまりを無くすことができるからです。
これらのことを説明すると、相原様に納得していただけたようで、フェンスの柱の設置も一緒に、工事のご依頼を正式にいただきました。
2.工事の様子
この項では、実際の工事の様子を紹介していきます。
作業に関しては、「水たまりができてしまう庭の排水性を向上する外構工事の事例」でさらに詳しく解説しています。合わせて読むことで、作業内容の意味を理解することができます。
2-1.フェンス基礎
まずは、側溝の外側に設置する独立基礎を設置していきます。コンクリート製の筒状のものを地中に埋め込み、土圧(どあつ:土の圧力)により基礎を固定する簡易的な方法で行います。それは、独立基礎を側溝と隣のお宅のブロックとの間で挟むため強度が確保でき、ブロックや擁壁(ようへき:コンクリート製の壁)を設置するよりも遥かに安く施工することができるからです。
また、板を取り付ける作業は素人でも行えるので、相原様が施工しやすいように材料の長さに合わせて柱を設置しました。
2-2.桝・側溝の据え付け
まずは、上記図のように、泥やごみを溜めるための桝(ます)を設置します。そして、住宅の周りにすでに設置されている雨水を流すための配管と接続します。
次に、側溝を平らに並べていきます。このとき、水が流れやすいように、水勾配を設けました。具体的には側溝の底にモルタル(砂とセメントを水で混ぜ合わせたもの)を流し込み、水が流れる傾斜を作成しました。
2-3.蓋の設置・埋め戻し
そして、最後の仕上げ工程へと移ります。
最後に、側溝に泥が入らないようにフタをかぶせます。
そして、土をきれいに均して完成です。
3.引き渡し・工事の再依頼
工事が完了した後、相原様にお引き渡しをしました。
その数日後すぐに、まとまった雨が降り、相原様より以下のようなお喜びの声をいただきました。それは、いままで池のように溜まっていた雨水が、側溝の設置により嘘のようになくなったからです。
水たまりの問題が解消されたことにより、相原様はいよいよお庭造りの計画を開始しました。
その際は、弊社(MKプランニング)にご相談いただきました。なるべくDIYにて施工することを考え、相原様からヒアリングした内容を、よりイメージしやすくするためにパース図(3Dの図面)を作成して何度も打ち合わせをしました。
最終的に、芝生や植栽を相原様が行い、その下地を弊社が施工するという「ハーフDIY」の工事のご依頼を再度いただきました。
4.芝生の下地作成
芝生は、ホームセンターなどでも簡単に購入できます。しかし、下地が水はけの悪い土であったり雨水を流すための水勾配を設けていなかったりすると、芝がすぐに腐ってしまう可能性があります。
特に、相原様宅のお庭の土は、水はけの悪いものでした。そのため、大量の砂を使用して改善する必要があったのです。
これは、素人では難しい作業のため外構専門業者に依頼する必要があります。
以下からは、実際に行った作業内容を紹介します。
4-1.土の整地
まずは、上記写真のように、石や草などを取り除きながら整地(せいち:土をきれいに均すこと)していきます。
この作業は簡単そうに見えますが、実は道具を使い慣れていないときれいに均すことはできません。
弊社では、スコップ等で高さを合わせて均して、仕上げに上記写真のような「熊手(くまで)」という道具で草や小石を除去していきます。これを使用することにより、異物を取り除くことができ、きれいに整地することができます。
4-2.枕木の設置
相原様より、枕木の設置を依頼されていたので、材料を相原様より支給していただき施工しました。
このように、お施主様が業者に資材を提供して工事を行うことを「施主支給」と呼びます。これにより、業者に材料の調達を任せるときに比べて、製品に上乗せさせる余分な経費を削減できるのです。
つまり、知識のある方ならば、減額するための良い手段といえます。
こうして、相原様に用意していただいた枕木は、踏み石・砂場の土留めに使用させていただきました。
4-3.転圧
次に、上記写真のように、整地した土を転圧(てんあつ:専用機械にて平らに土や砂利などを締め固めること)します。
もし、大きい石ころや異物があるのにも関わらず、そのまま砂を敷いてしまうと、砂が極端に薄くなってしまい芝の生育に悪影響を及ぼす可能性があります。
写真下部は転圧後で、上部は転圧前の状況ですが、石ころや土の凸凹が無くなっていくことが一目瞭然です。これにより、砂の厚みが均一になるため仕上がりがより平らになるのです。
このようにして、砂を敷くための下地が出来上がりました。
4-4.砂の敷き均し
きれいに転圧した土の上に、砂を敷き詰めていきます。このとき、凸凹にならないように均します。なぜなら、砂の上に芝生を設置するため、下地がきれいに出来上がっていないと仕上がりが悪くなってしまうからです。
さらに悪い例を挙げると、芝の上に水たまりができてしまったりうまく根が張らなかったりしてしまうことがあります。これらを防ぐためにも、水勾配を考慮しつつ平らに砂の高さを調整します。
そして下記写真のように、転圧機にて砂を締め固めて完成です。
まとめ
弊社が下地作成をした後、相原さんの手により下記写真のような植栽と芝生が施されました。
施工前の水たまりができてしまうお庭から問題を解決しつつ、見栄えを意識したエクステリアを実現することができました。
また、ハーフDIYの作業方法により、相原様の描いていた理想のお庭を、リーズナブルに仕上げることができるのです。
このように、素人では困難な土工事を専門業者が行い、簡単に行える工事をあなたがすることで、本格的なお庭造りが楽しめます。
この他にも、砂利敷きやレンガ積み、さらにはウッドデッキの作成など様々な工事が挙げられますので、もし、「DIYに興味がある」という方は、お近くのハーフDIYを行っている業者に相談してみましょう。
あなたの理想のプランを提供してくれ、専門的視点からお庭造りのアドバイスをしてくれるはずです。
相原様、この度は工事のご依頼ありがとうございました。これからも、相原様のお庭造りを応援していきます。