外構(エクステリア)の中でも、玄関回りはお客様を出迎える場所のため、「見栄え良く作りたい」と考える方は多いです。特に、アプローチ(敷地の入り口から玄関までの路)は、訪れた人が必ず通るため、ここの仕上がり次第で建物の印象が決まるといっても過言ではありません。
例えば、家の入り口までの通路を整備せずに土や砂利のままにしてしまうと、雑草が生えたり泥で汚れたりしてしまい、見栄えを損なう可能性があります。一方、アプローチをタイルや石張りなどで飾っておけば、お客様に庭を見て楽しんでもらうことができるようになり、おもてなしができます。
そのため、外構工事(エクステリア工事)の中で、アプローチは欠かせない項目となっています。
ただ、建物のデザインや様式によってエクステリアのプランは変わってきます。和式住宅に洋風の外構を採用してしまうと、ちぐはぐな印象を与えてしまうからです。
そこで、新築住宅の「トータルコーディネート(庭全体の工事)」を行った、富士市天間のS様邸を例に挙げて紹介します。エクステリアは建物の雰囲気に合わせることで、見栄えが良くなることが理解できるようになります。
もくじ
要望のヒアリング
S様からは、「建物の外壁に合うシンプルな庭を作ってほしい」との要望がありました。S様のご自宅はシンプルモダンな外壁だったため、それに合うように白とグレーを組み合わせた「コンクリート製の舗装材(ほそうざい:足元を歩きやすくし、見栄えを良くするための地面に設置する材料)」を使用したアプローチを提案しました。
また、「お客さんが来た時に車を停めることができるように、自動車が乗っても壊れないものにしてほしい」との希望もありました。そのため、人が歩いても壊れないのは当然のことながら、駐車場として使用しても壊れないような施工をするお約束をしました。
すると、S様から快諾いただき、模様を何度か打合せをしてデザインが決まりました。
アプローチのプラン決定後、いよいよ工事着手となります。
工事着手
工事初日、まずは土を掘り、床付け(とこづけ)をします。床付けとは、ショベルカーで掘った土を平らに均す作業のことです。このとき、重機で深く掘りすぎないように注意します。設計図以上に土を取り除いてしまうと、地盤を耕すことになってしまうからです。もし、深く掘り起こしてしまうと、地面がほぐれてしまうことになります。
すると、強固な下地を作成できなくなり、その上に構造物を設けても設置した舗装材が下がってしまう可能性があります。例え人が乗ったり歩いたりして壊れないとしても、車が乗った時に床材が動いてしまっては意味がありません。そのため、床付けを行う際はできるだけ誤差が少なくなるように掘り下げるのがポイントです。
次に、床付けが出来上がった後、砕石(さいせき:石を砕いて粒の大きさを調整したもの)を敷いていきます。使用した砂利は、「C-30」と呼ばれる良く締め固まるものを選定します。
ただ、砂利を敷くだけでは下地は堅くなりません。
そこで、ランマ(地面を叩いて締め固める機械)やプレート(地盤を振動により堅くする建機)を使用して締固め(しめかため:締固め専用機械を使用し土や砂利を強く固めること)をします。この作業を丁寧に行うことで、舗装材を並べても沈下したりがたついたりしない下地が完成します。
次に、舗装材に下に砂を敷いて均します。コンクリート製の平板が割れてしまわないようにするクッションの役割を果たすためです。また、舗装材の高さ調整のためでもあります。
舗装材が設置できたら、目地(めじ:平板の間にできる隙間)にも砂を詰めていきます。もちろん、これも舗装材が割れたり動いたりしないようにするためです。
そして、最後に平板の上を水で洗い流したりホウキで掃いたりして完成です。
完成
いよいよ、S様邸アプローチの完成です。
上の写真の通り、シンプルモダンでありながら、建物と調和する見栄えの良いアプローチが完成しました。
また、前述の通り車が乗れる強度が必要であったため、固い砕石面の作成と車乗可能な舗装材の選択をしました。もちろん、この広さであれば、自動車を停めることができます。
玄関アプローチは、家の顔です。毎日通るこの場所を、実用的且つ見栄えよくすることはとても大切です。S様のように、駐車場としての用途や見栄えを考慮しつつプランを考えれば、見栄えは当然のことながら実用性の高いエクステリアが完成します。
あなたも住宅の顔となるアプローチを、外観だけでなく使いやすい素敵なものにしましょう。