駐車場の土間コンクリート工事に必要な4つの費用や価格の知識

木の家 背景空

車を持っている場合、どの家庭でも、車を停めるスペースに土間コンクリート(どまこんくりーと:地面に直接流し込んだ平らなコンクリート)が設置されています。このとき、どのような計算のもと、お見積書を作成しているのでしょうか。

材料費や人件費、さらには交通費などさまざまな経費が積み重なって出来上がっていますが、実は、その他にも様々な作業内容を考慮して計算されます。

そのため、それらの項目を理解していないと、安いだけを売りにしている業者に騙されてしまうことがあります。外構工事は電化製品ではないため、「安かろう悪かろう」が顕著に出てしまうからです。

つまり、安すぎる業者の場合、その金額の分、質を落としているということです。

ただ、ほとんどの方は値段のみを重視して考えてしまう上に、出来上がってしまえば、見えなくなってしまう場所の「手抜き工事」を見破ることはできません。

そこでこの記事では、駐車場の工事がどのように行われて、それにどれだけの費用が掛かるのかを分かりやすく解説していきます。これを読み終えることで、駐車場のお見積り内容や正しい施工方法までを完璧に理解できるようになります。

もくじ

1.駐車場工事を行う理由を考える

完成3

庭に土間コンクリートを設置するということは、必ず理由があります。

たとえば、コンクリートにせず土のままだった場合、朝自宅を出る際にぬかるんだ地面にタイヤが落ちて出れなくなったり、泥のついたタイヤで周辺道路を汚してしまったりしては最悪です。

理由は異なるとしても、全ての人が何かしらの悩みを持ち、それを解決するために駐車場をコンクリートにするはずです。

しかし、「駐車場の工事をしたい」と考え、見積りを取り始めると多くの方は値段ばかりを気にしてしまいます。その結果、相見積もり(あいみつもり:複数の会社に見積りを依頼すること)の中で、一番安い業者に決めてしまう人は、たくさんいます。

ただ、冒頭で述べた通り、外構工事は「安かろう悪かろう」が顕著に出てしまうため、電化製品のように同じ金額、同じ内容でお見積りをしたとしても、比較するのは難しいです。たとえ低価格でしっかりとしたお見積り内容で、安心感があったとしても、現場で手抜き工事をすれば、エクステリア業者は確実に儲かります。

実際に、お客様に提示する金額をとにかく安くして、実際は粗悪な工事をして利益を上げている悪徳業者は多いです。たとえ質が悪いとしても、契約をしてしまえば、お金を支払うしか方法はなくなってしまいます。

このようなリスクを防ぐために、値段ではなく、しっかりとした工事をしてくれる外構会社を見つけることだけにフォーカスする必要があります。

優良業者を見つけることができれば、高品質の工事を適正価格で施工してくれるので安心です。また、予算が少ない場合、それに合わせたプランを提案してもらえるので、あなたが抱える悩みを必ず解決してくれるはずです。

駐車場のコンクリート工事も同じように、まずは「なぜ工事を行いたいのか」を考え、それを正しい施工で実現してくれる業者を見つけるようにしましょう。

事項から、駐車場の施工・金額についてふれていきます。

2.駐車場工事の正しい工程

施工前後

上記写真は、弊社が行った駐車場工事の一例です。

お客様の土のままで困っていたスペースを、コンクリートにすることによりお悩みを解決することができました。

ここからは、この東京都墨田区で行ったM様邸の工事を例に挙げて、駐車場工事の基本的な作業内容や金額を解説していきます。

2-1.現地調査、お見積書作成

M様より当社へ「家の出入り口が土のままで段差があり、なんとかしたい。雨が降ると泥がタイヤについてしまい最悪の状況です。」とお問い合わせをいただきました。

今回は、お客様のご協力もいただき、細かく撮影した現場写真を送っていただけたため、そちらで判断しました。弊社では、写真のみでも確実なお見積り金額を算出できると判断した場合に限り、このような「ネット見積り」というスタンスを取らせていただいています。

そこで、すぐに提示した金額は15㎡の土間コンクリート工事で「14万5千円(税込み)」でした。

これは、後述する様々な作業を考慮しての金額ですし、もちろん、追加で料金が発生するようなことはありません。

お見積り書提出後、M様よりすぐに工事のご依頼を正式にいただきました。このとき、M様は「相見積もり」を取っていましたが、ホームセンターやハウスメーカーでの見積価格は弊社の3~4倍でした。さらには、お見積り内容も「一式 〇〇〇円」と書かれていただけで、どのような工事をするのか分からない状況でした。

これでは、金額が高いばかりか、安心感もないお見積り内容になってしまいます。そのため、弊社に即決していただけました。

2-2.工事着手・下地作成

この項では、作業内容の文章の後に、丸数字を記しておきます。そして最後に、それらをもとにお見積り内容の内訳を公開していきます。これにより、素人であってもどの工事にどれだけの費用が掛かるのか、手に取るように分かります。

土間コンの断面図

工事初日、まずは土の掘削(くっさく:土を掘り下げること)を行いました。

土間コンクリートは、上記図のような断面図になるため、高さを計算して掘り下げます。これを、お見積書では「①掘削(くっさく)」と記します。

その後、砕石を10cm程度敷いて、専用の転圧機にて平らに締め固めます。これは、「②砕石敷き」です。

これにより、コンクリートの厚みが均等になるばかりでなく、強度のある下地が完成します。

また、この駐車場は水勾配(みずこうばい:水を流すための傾斜)を考慮して作成してあるため、下地の段階でも傾斜をつけます。

水勾配について詳しく知りたい方は、「芝生や砂利を敷くときの下地作りの秘訣:水勾配や土質を学ぶ」を読んでください。これで、下地作りの重要性が良く分かります。

2-3.コンクリート打設前の下準備

ワイヤーメッシュ

下地作成が完了した後、上記写真のワイヤーメッシュを敷いていきます。

前述の図で示した通り、ひび割れ防止のため、強度を向上させるための金網です。これは、「③ワイヤーメッシュ敷き」です。

ワイヤーメッシュは、隙間なく敷き詰めていきます。

このとき、建物と土間コンクリートを一体化させるために、差筋(さしきん:コンクリートに穴を開けて鉄筋を挿すこと)をしました。これによりさらに、高強度・沈下しにくい駐車場が出来上がります。④差筋」のこうもくになります。

次に、仕上がりの高さを水糸(みずいと:緊張を持たせることにより、線を示すことのできる糸)で示します。この糸に合わせて、雨水や排水が通る点検のための枡(ます)や水道メーターの高さ・傾斜を、切ったり管を繋いだりして調整していきます。これは、コンクリートの仕上がりの高さと均一になるようにするための大切な作業です。これらはそれぞれ、「⑤水盛遣方(みずもりやりかた)」、「⑥枡調整費」となります。

ちなみに、水糸を張る作業を「水盛遣方」と言います。聞きなれない言葉だと思いますので「水盛り遣り方(丁張り)の価格について:外構工事のお見積り」をご覧ください。この作業の意味が良く分かります。

次に、枡や周りの物を養生(ようじょう:周辺の物が汚れないようにテープやシートなどで保護すること)します。これにより、仕上がりがきれいになるばかりでなく、お客様の物を傷付けることなく施工できます。⑦仮設養生費」といいます。

打設前

2-4.生コンクリート流し込み・完成

下準備が整った後、あらかじめ工場に予約を入れておき生コンを打設(だせつ:コンクリートを流し込むこと)します。見積り項目では、文字通り「⑧生コン打設」と表記されています。

また、流し込みの際は、できるかぎりスピーディーにコンクリートを打設して高さを合わせます。これは、生コンは時期により流し込み完了までの時間が定められているためです。

その後、硬化の具合を確かめながら数回に分けてきれいに均していきます。これは、生コンクリートの性質上、材料に含まれる石を沈めながらトロトロとしたノロ状のセメントを表面に出してから撫で上げた方が、きれいな仕上がりになるからです。

ただしM様の場合、滑り止めのために刷毛引き(はけびき)という仕上げ方法を採用しました。そのため、ホウキではいたような刷毛目(はけめ)を表面につけていきます。これを、「⑨刷毛引き仕上げ」と呼びます。

最後に、道路や周りを清掃して完成です。

3.M様邸駐車場工事の金額解説

ビジネスマン お金

ここでは、前項「2.駐車場工事の正しい工程」にて解説をしてきた施工内容を、表にして紹介します。丸数字で表した工事内容や単価、数量、金額を照らし合わせて確認してください。

工事内容 単価 数量 金額
①掘削 1,000円 15㎡ 15,000円
②砕石敷き 1,200円 15㎡ 18,000円
③ワイヤーメッシュ敷き 800円 15㎡ 12,000円
④差筋 350円 6本 2,100円
⑤水盛遣方 300円 15㎡ 4,500円
⑥枡調整費 1,000円 6箇所 6,000円
⑦仮説養生費 1式 1式 3,400円
⑧生コン打設 4,000円 15㎡ 60,000円
⑨刷毛引き仕上げ 400円 15㎡ 6,000円
⑩交通費 9,000円 2回 18,000円

合計  145,000円

この度行ったM様邸の工事では、上記のような金額となりました。これが、弊社が算出した適正価格です。ただし、工事の施工範囲の大小により単価は変動します。

このように、シンプルな土間コンクリート工事であっても、多くの作業や経費が発生します。お客様に高品質な工事を提供するためです。

そのため、㎡(平米)単価を調べておおよその予算組みを行うことは構いませんが、各現場の状況により金額が変動するということを頭に良く入れておいてください。

4.お見積りを確認する際の注意点

注意点

ただ安いだけを売りにしている業者は、前項の「②砕石敷き」の作業を省いたり、「④差筋」をしなかったりして、作業手順を抜かす(手抜き工事)ことで低価格を実現しています。

その結果、駐車場を使用している際に、土間コンクリートが割れてしまったり沈下してしまったりします。一度ひび割れたコンクリートは、壊してやり直さなくては元に戻りません。

つまり、目先の安さだけで判断してしまうと、結果として余分なお金がかかってしまうということです。

本来、現場仕事はその場所に合った工法を選びます。しかし、前述のような悪徳業者は金額を統一させるために、どの現場でも同じ内容の作業のみで完成させてしまうのです。

したがって工事の際は、施工業者のお見積り内容をよく確認して、金額をチェックするのはもちろんのこと、内容も重視しなくてはいけません。

まとめ

ここまで読み終えたあなたは、駐車場工事の正しい施工方法や見積書の作られ方、さらにはそれを見る際の注意点までを深く理解できたはずです。

ただし、これは現場の状況や作業効率によって変動するため、確実に金額を知りたい場合は、お近くの優良業者に問い合わせをして相談するようにしましょう。

駐車場は一生に一度、行うかどうかの高額な買い物です。粗悪な工事をされないためにも、このページが一人でも多くのエクステリア工事を考えている人の役に立てば幸いです。

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