お庭の一部を土間コンクリート(どまこんくりーと:地面に直接流し込んだ平らなコンクリート)にしたいと検討しているあなたは、どれだけ知識を持っているのでしょうか。
このページでは、どのような工法でどれくらいの金額が必要なのか、さらには悪徳業者はどのような施工をするのか解説します。
もし、何も知らずに安さだけを売りにした粗悪なエクステリア業者に依頼してしまうと、強度がなく脆いもの、さらに言うと仕上がりの悪い土間コンクリートを提供されてしまいます。通常よりも安い分、作業工程を減らしているからです。
逆に、ハウスメーカーや工務店、ホームセンターなどの「自社で施工せずにマージンを搾取して下請けに流す会社」の場合、適正価格よりも2~3割程度の割増し料金を取られてしまいます。
このようなリスクを防ぐためにも、あなた自身が知識を身につけて、優良業者を見つけ出すことが必要不可欠です。
そこで、このページでは、お庭の土間コンクリート工事に関する費用や正しい施工方法を解説していきます。
もくじ
1.お庭に土間コンクリートを施工する意味を考える
あなたの庭に土間コンクリートを設置することで、どのようなメリットが期待できるのでしょうか。
ここでは、その意味を考えていきます。
代表的なことを言えば、「足元を汚さずに済む」「雑草が生えなくなる」などが挙げられます。
たとえば、土のままになった地面と土間コンクリートの上を歩くのとでは明らかな違いがあるのは言うまでもありません。もし雨天時に、お客さんがあなたのお宅を訪れた場合、土の地面を歩いたら靴が泥だらけになってしまいます。もちろん、そこに住むあなたや家族も同様です。
また、最近では様々な雑草対策の方法があります。しかし、地面を土間コンクリートにすることが一番の対策であると言えます。
それは、どんなに強い雑草であっても貫通することはできないからです。
たとえば、防草シート(ぼうそうしーと:雑草を生えにくくするためのシート)は、数年経つと、経年劣化により少しずつ雑草が生えてきます。しかし、コンクリートは長年に渡って防草効果を発揮します。
よって、多量の雑草が生えてしまう際や木の根や強い雑草に対しては、安価な雑草対策をせずに土間コンクリートを設置する方が利口です。
他にも、障害者や高齢者が家族にいる際は、砂利やデコボコ道を土間コンクリート舗装する必要があります。車いすでの走行が、困難になるからです。
さらには、土間コンクリートが施工されている場合、車の通行が可能であったり駐車ができたりするメリットもあります。
このように、地面を土のままにせず手を掛けることにより、様々なメリットが生まれてくることは理解できたはずです。
次は、弊社(MKプランニング)の施工例とともに、土間コンクリート工事の費用についても解説していきます。
2.土間コンクリート施工手順
弊社で行った静岡県吉田町榛原郡吉田町で行ったI様邸外構工事(エクステリア工事)をもとに、正しい施工を解説していきます。
ここでは、作業手順のあとに丸数字を記しておきます。事項の金額を確認する際、どのような作業がいくらなのかを知るためです。
2-1.お問い合わせ・ご契約
この度、I様より「庭の砂利道を車いすが走行できるようにコンクリート舗装してほしい」とお問い合わせいただきました。
そこで、I様から現場写真及び敷地図をいただき、すぐにお見積りしました。この流れは、「ネット見積り」を採用して行っています。
これにより、スピーディ且つ現場調査経費をかけることなく見積りできました。このとき提示した金額は、25㎡(平米)で¥270,000円(税込み)でした。
もちろん正式な値段であり、増減することはありません。
さらには、現場調査費用が掛からないため、その分I様に還元することができました。これは、弊社が現地を視察しなくても正確な金額が分かると判断した場合のみに適用する方法です。
このときI様は、相見積もり(あいみつもり:複数の会社に見積りを依頼すること)を取っており、返答に少し時間を要しました。
数日後I様よりお見積書の回答がきた際、「ホームセンターに依頼したお見積書と数十万円の差があった、対応も迅速で丁寧だった、ぜひ御社にお願いしたい」と言われました。
マージンを搾取するだけのホームセンターに、金額・品質で負けるはずが無くI様とご契約となりました。
2-2.工事着手・掘削
工事初日、まずは上記写真の下部に見える緑のラインを設定します。
これは、土間コンクリートの位置と高さを示すものです。お見積書では「①水盛り遣り方」と表します。聞きなれない言葉だと思いますので、詳しくは「水盛り遣り方(丁張り)の価格について:外構工事のお見積り」を読んでください。丁張りの大切さが理解できます。
次に、これを目安に掘り下げていきます。
コンクリートは、下記の図のような断面になっています。そのため、仕上がりの高さから算出して掘削(くっさく:土を掘り下げること)します。これを「②掘削」と表記します。
また、掘削の際は重機を使用していますので、これを運搬する費用として「⑨重機回送費」をいただいております。
2-3.残土処分
「2-2.工事着手」で掘った際に、余分な土が発生します。土であった場所に、砕石やコンクリートを設置するためです。これを、建設残土や発生残土と呼びます。
外構工事では、この「残土処分費」が曲者となります。
なぜなら、本やインターネット等でどれだけ工事費用のことを調べても、実際のお見積書にはこの残土処分が上乗せされます。エクステリア工事は、地面に埋め込むものが多いため、処分費を無視することはできません。しかも、工法や現地の状況によって量や単価が変動するため、素人では到底計算することはできません。
参考までに、上記に図を掲載しておきます。
ちなみに、I様邸の工事では3.5㎥(立米)の残土が発生しました。これを「③残土処分費」としています。
2-4.生コンクリート打設までの準備
ここでは、コンクリート打設(だせつ:生コンクリートを流し込むこと)までの流れを解説します。
掘削終了後、砕石(さいせき:石を適度な大きさに砕いた物)を敷き、転圧(てんあつ:機械により地面を叩いて締め固めること)します。これを「④砕石敷き」とお見積書に表記します。
そして、その上に生コンをせき止めるための枠を設置します。「⑤土間枠」とします。
さらに、型枠の中にコンクリートのひび割れ防止のためのワイヤーメッシュという金網を敷きならべます。これを「⑥ワイヤーメッシュ敷き」と呼びます。
上記写真のような状況にして、コンクリートの打設の日を待ちます。
2-5.生コン打設・完成
生コンクリートを流し込んでいきます。このとき、厚みが確保できるように、生コンをあらかじめ設定した高さ通りに均していきます。この作業をお見積書では「⑦生コン打設」と表記します。
悪徳業者の場合、材料費を少なくするためにコンクリートの厚みを少なくします。そうなると、ひびが入ったり、最悪の場合割れたりします。そのため、安すぎる業者には注意が必要です。
生コンクリート打設終了後、きれいに均していきます。I様の場合、車いすの走行を予定しているので、滑り止めが必要です。そのため、刷毛引き(はけびき)というホウキで掃いたような刷毛目(はけめ)をつけた仕上がり方法にして、スリップ対策をしました。これを「⑧刷毛引き仕上げ」と言います。
コンクリート硬化を確認した後、型枠を外して周りの土をきれいに均して完成です。
3.I様邸土間工事の費用解説
ここまでの説明で、土間コンクリート工事はどのような作業を行うのかが理解できたはずです。
ここでは、前項「2.土間コンクリート施工手順」の内容を実際のお見積書のように表記します。丸数字で表した工事内容を数量・単価までもを公開していきます。
工事内容 | 単価 | 数量 | 金額 |
①水盛り遣り方 | 5,000円 | 1式 | 5,000円 |
②掘削 | 1,200円 | 25㎡ | 30,000円 |
③残土処分 | 4,000円 | 5.5㎥ | 22,000円 |
④砕石敷き | 1,200円 | 25㎡ | 30,000円 |
⑤土間枠 | 900円 | 45m | 40,500円 |
⑥ワイヤーメッシュ敷き | 800円 | 25㎡ | 20,000円 |
⑦生コン打設 | 3,500円 | 25㎡ | 87,500円 |
⑧刷毛引き仕上げ | 400円 | 25㎡ | 10,000円 |
⑨重機回送費 | 25,000円 | 1式 | 25,000円 |
合計 270,000円
この度のI様邸土間工事は、上記のような金額となりました。これは、弊社の算出した適正価格ですが、広さや工事条件等により変動します。
また、このような多くの作業手順や経費が発生するのは、高品質な工事をお客様に提供するためです。少しの条件違いで、金額が大きく変わることがありますのでご了承ください。
たとえば、同じ大きさの土間コンクリートの作成において、車が入れる場所と入れない場所では、2割程度後者が高額になります。それは、すべての作業において運搬経費が余分に発生するためです。
このようにして、お見積り金額が設定されることは理解できたと思います。事項では、施工業者を決める際のポイントについて解説していきます。
4.施工業者を選び抜くポイント
業者を決める際に、相見積もりを取った方が良いです。それは、金額や施工方法を比べることができるからです。
また、上記の図のように、細かい内容まで記されたお見積書をもらうようにしましょう。悪い例のようなお見積書の場合、手抜き工事をされて指摘したとしても「お見積書に記載していない」「追加工事になるので料金が発生します」などと言われてしまいます。最悪の場合、壊したり直したりしなくてはならなくなり、結果として高い買い物となってしまいます。
他にも、ハウスメーカーやホームセンター、工務店などに依頼する際も注意が必要です。これらの会社は、マージンを取って利益を出しているため工事金額が3割程度高額になります。
そのため、自社施工の外構専門会社を見つけて依頼するのがベストです。
これらのことに気を付けて、相見積もりを依頼するようにしましょう。
まとめ
このページを読むことで、土間コンクリート工事のおおよその価格が分かったはずです。ただ、ここで提示した金額はあくまでもI様邸の場合に適用する単価であり、あなたのお庭工事の単価とは異なります。
詳しい金額が知りたい際は、お近くのエクステリア業者に問い合わせてみましょう。
また、電話する際は前述の通り、自社施工のお見積書の記載内容が細かい方が良いです。つまり、親切な会社を選びましょう。そして、金額のみで工事を決めてしまうと、ただ単純に安くするために手順を省く「手抜き工事」をする悪徳業者に依頼してしまう可能性があることを肝に銘じてください。
この記事により、あなたが優良業者と繋がることができたら幸いです。
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